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上司が見張ってる? 急成長する職場の「監視テクノロジー」市場、プライバシー面の懸念も

8/18(日) 11:06配信

The Telegraph

【記者:Matthew Field】
 広報の仕事をしているレベッカ・サンダースさんは、マネジャーの傍らに呼ばれ、会社を辞めるつもりなのかと聞かれた時、何かが起きたと思った。

 彼女はその数時間前、同僚に送った電子メールの中で、別の仕事を探していると冗談を書いていた。

「その後、別の同僚にも同じことが起きたんです」「いろいろな断片をつなぎ合わせた結果、電子メールを監視されていると確信しました」

 雇用主が従業員を監視するためのテクノロジーは、日々向上しており、普及も進んでいる。そのため、労働組合や従業員団体の間では、プライバシーに関する懸念の声も上がっている。

 例えば、英国で設立され現在は米ニューヨークに拠点を置く「ビヘイボックス」のような成長著しいスタートアップ企業は、疑わしい動きを検知し、問題が生じる前に根を絶つ、洗練された人工知能(AI)や機械学習ソフトウエアを一流企業向けに展開している。しかし、そのようなテクノロジーは、誤用されれば監視文化を作り出すリスクを伴う。

 この分野の市場は、今後4年間で33億ドル(約3500億円)に成長すると見られている。ITリサーチ企業「ガートナー」が調査した大手239社のうち、より高度な監視技術を用いている企業は半数以上に上り、2015年の30%から増加した。

 多くの企業は、こうした監視技術は必要不可欠だと主張する。不正行為の防止や侵入者の検知が可能となる上、収集されたデータは生産性の向上や従業員の活用にも利用できるからだ。

 米マイクロソフトは、従業員が自身の時間の使い方を確認でき、一方で雇用主は職場で行われていることを大局的に把握できる「Workplace Analytics」といったツールを開発している。

 米テキサス州のサイバーセキュリティー会社「フォースポイント」のマシュー・モイナハン最高責任者によると、職場の監視はまた、社内の脅威を阻止するカギにもなるという。

 米カリフォルニア州に拠点を置く企業「ファマ」は、米経済誌「フォーチュン」が選んだ500社の中に数えられる企業を含む120社の顧客を抱えている。2018年には、公開されているコンテンツ2000万件を精査し、インターネット上で性差別的あるいはミソジニー(女性への嫌悪や蔑視)的な人が14%、人種差別的な人が10%いることを突き止めた。

 一方、ビヘイボックスは、コンプライアンスの監視用に高度なAIシステムを構築している。金融サービスを提供する企業から集めた膨大な量の電話、電子メール、メッセージなどのデータを活用する同社のテクノロジーによって、企業のコンプライアンスやセキュリティーの担当者は、通常とは異なるパターンの動きを見つけ出せるようになっている。

 しかし、そうしたテクノロジーには必然的に倫理上の問題が伴う。

 英国では一般的に、雇用主が従業員の個人情報を使って行うことのできる事柄に対する線引きが厳しい。

 英フードデリバリーサービス「デリバルー」は2018年、「配達時にGPSで入念に監視され、その仕事ぶりを罰せられた」と主張した配達員らに対し和解金を支払うことを余儀なくされた。

 デジタル・プライバシーの専門家レイ・ウォルシュ氏は、従業員にとって、雇用主が自分に関するどんな情報を集めているのかを知ることは非常に大切だと話す。

「従業員は、どんな情報が集められているのか不明であれば、何を監視しているのか、その理由は何かを雇用主に問い合わせるべきだ。企業側が自社で収集したデータを悪用すれば、社会契約に反することになる」 【翻訳編集】AFPBB News

「テレグラフ」とは:
1855年に創刊された「デーリー・テレグラフ」は英国を代表する朝刊紙で、1994年にはそのオンライン版「テレグラフ」を立ち上げました。 「UK Consumer Website of the Year」、「Digital Publisher of the Year」、「National Newspaper of the Year」、「Columnist of the Year」など、多くの受賞歴があります。

最終更新:8/18(日) 11:06
The Telegraph

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