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健康食品に意味はあるのか?

8/18(日) 11:00配信

本がすき。

現代の高度情報化社会においては、あらゆる情報がネットやメディアに氾濫し、多くの個人が「情報に流されて自己を見失う」危機に直面している。デマやフェイクニュースに惑わされずに本質を見極めるためには、どうすればよいのか。そこで「自分で考える」ために大いに役立つのが、多彩な分野の専門家がコンパクトに仕上げた「新書」である。本連載では、哲学者・高橋昌一郎が、「思考力を鍛える」新書を選び抜いて紹介し解説する。

健康食品に意味はあるのか?

連載第23回で紹介した『月をめざした二人の科学者』に続けて読んでいただきたいのが、『「健康食品」ウソ・ホントーー「効能・効果」の科学的根拠を検証する』である。本書をご覧になれば、いわゆる「健康食品」で本当に健康を買うことができるのか、「フードファディズム」とは何か、知らず知らずのうちに悪質な「機能性表示食品」広告に騙されていないか、明らかになってくるだろう。

著者の高橋久仁子氏は、1949年生まれ。日本女子大学卒業後、東北大学大学院農学研究科博士課程修了。群馬大学教授を経て、現在は群馬大学名誉教授。専門は栄養学・教育学。内閣府食品安全委員会リスクコミュニケーション専門調査会委員。食品表示の科学的根拠に関する研究で知られ、『「食べもの神話」の落とし穴』(講談社ブルーバックス)や『フードファディズム』(中央法規出版)などの著書がある。

1952年、懐疑主義者として有名な数学者マーティン・ガードナーが『奇妙な論理』(In the Name of Science)を著し、疑似科学の一環として「フードファディズム」(food faddism)を批判した。この言葉を日本に紹介したのが、高橋氏である。

「フード」(food)は「食物・栄養」であり、「ファディズム」(faddism)は「大流行・熱狂」を意味する。「フードファディズム」とは、「食物や栄養が、健康や病気に与える影響を、熱狂的あるいは過大に評価し信じること」と定義される。

たとえば、ある日の朝食に1パックの納豆を食べることは、ごく普通の食行動だろうが、「納豆を食べると痩せる」という流行に踊らされて毎日10パックを食べるようになれば、「フードファディズム」に陥っているということになる。

これさえ食べれば「痩せる」あるいは「万病に効く」といった健康への好影響を吹聴する食品の大流行は、「紅茶キノコ」(1975年)、「酢大豆」(1988年)、「ココア」(1996年)、「にがり」(2003年)、「寒天」(2005年)、「白インゲン豆」(2006年)、「納豆」(2007年)、「バナナ」(2008年)、「トマトジュース」(2012年)と続いた。

食品は多くの成分で構成されている。ここで注意しなければならないのは、「有益(有害)な成分が含まれているから良い(悪い)食品」のように、消費者が「定性的」な二分法で判断してしまう傾向である。しかし、より重要なのは、食品に含まれる成分が「どの程度意味のある量なのか」を「定量的」に判断することなのである。

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最終更新:8/18(日) 11:00
本がすき。

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