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【最も美しいクルマとは?】ベルトーネが生み出した「奇妙だけれどワクワクする」究極の一台

8/18(日) 7:01配信

LEON.JP

自動車のみならず、料理、映画、小説など幅広いジャンルで執筆活動する小川フミオ氏。「ベストデザインのクルマを選ぶのは、自動車好きにとって永遠のテーマ」と語る小川さんがあげたベストデザインのクルマとは。そしてその理由とは?

デザイナーのクリエイティビティの最良のサンプル

「ベストデザインのクルマは何か?」
その答えは自動車好きにとって究極の難題であり、永遠の議題だ。
だから最高に楽しいし、本当に難しい。

その難題であることを前提に、僕が最も好きなデザインを挙げるとしたら、ランチア「ストラトス」(1974)だ。理由はいたってシンプル。

ずっと見ていたいから。

円筒を切りとったような曲率の大きなウィンドシールド、タイヤより低いんじゃないかと思うボンネット、そしてそこに食い込んだようなフェンダーアーチ。

全長はわずか3710ミリで、全幅は1750ミリ。俯瞰でみるとクルマのプロポーションとしては例外的に真四角に近く見える。

なんでこんなカタチが思いついたのだろう。あらゆるディテールに見るたびに発見のようなものがある。デザイナーのクリエイティビティの最良のサンプルではないだろうか。

宇宙船を思わせる低い車体

このクルマを手がけたのは、カロッツェリア・ベルトーネ(とチーフスタイリストだったマルチェロ・ガンディーニ)。

最初は1970年のトリノ自動車ショーむけに「ストラトリミテ」の名で開発されたデザインプロポーザルだった。

それ以前にはランボルギーニ「ミウラ」(1966)やアルファロメオ「モントリオール」(1967)、そして「カラボ」(1968)と意欲的なスポーツカーデザインを発表してきたベルトーネ。

「ストラトス」では、今までにないスポーツカーの提案として、ランチア「フルビアクーペ」のシャシーを使い、そこに画期的なデザインのボディを載せた。

低い車体は宇宙船を思わせ、ウィンドシールドとドアが兼用という航空機のようなアイデアが盛り込まれていた。

ディーノ用の2.4リッターV6を搭載

ランチア「ストラトス」が生まれるきっかけは、短いボディに、エンジンを横にしてミドシップするというベルトーネの考えだった。

ランチアのジェネラルマネージャーだったピエル・ウゴ・ゴバートが、ひょっとしたらこのデザインは次期ラリーマシンに発展させられるのではないかと考えたのだ。

キャビンをシェル構造にして、前後に堅牢なフレーム。そこにエンジンやサスペンションを取り付けることで剛性を確保し、軽量化を図れる。

カロッツェリアが長いあいだ、世界中の自動車メーカーと仕事ができたのは、たんに外皮を美しくするだけでなく、このように技術的な提案性もあったからだ。

ベルトーネはそれに加えて生産設備も持っていた。ストラトスのような少量生産車は、メーカーの工場を使うのに向いていない。ベルトーネに次期ラリーマシンを任せる理由はすべて整っていたわけだ。

それでもエンジンの供給元を探さねばならなかった。ゴバートは苦心惨憺のあげくエンツォ・フェラーリからディーノ用の2.4リッターV6供給の契約をとりつけるのに成功する。

こうして「ストラトス」は世界ラリー選手権の参戦計画が完了したのち、ベルトーネで生産に移されたのだった。

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最終更新:8/18(日) 7:01
LEON.JP

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