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エアバスがA220を日本でお披露目(1)写真で紹介、A220はどんな機体?

8/19(月) 8:58配信

マイナビニュース

8月6日に中部国際空港(セントレア)で、エアバスA220-300の報道公開が行われた。これは、エアバスが7月29日からスタートさせたアジア向けデモツアーの殿となるもの。A220といえば、日本のエアラインでは就航させていない機体であり、しかも比較的最近のモデルなのでなじみが薄そうだ。今回は、A220という機体から紹介しよう。

【写真】操縦席(フライトデッキ)は、5面の多機能ディスプレイ(MFD : Multi Function Display)を配置している。操縦桿は他のエアバス機と同様のサイドスティック式 撮影:井上孝司

A220とは、こんな機体

なじみの薄い機体だから、まずは実機の写真を御覧いただこう。


今回はアジア太平洋地域の5カ国を巡るデモツアーを実施しており、その殿となったのが日本だった。報道関係者などを対象とするデモフライトでは、中部国際空港から小松まで北上して、右回りで糸魚川~長野~松本~中津川と周回する経路をとった。

ちなみにこの機体、2016年11月と2017年9月に羽田空港に立ち寄ったことがあるが、日本国内でのデモ飛行は今回が初めて。今回、中部国際空港に持ってきたのは、ポテンシャル・カスタマーからの要望と、以前に来たことがなかった場所、という事情によるそうだ。

CシリーズからA220に改称

もともと、エアバスの製品ラインにA220という機体はない。実はこれ、カナダのボンバルディア社が手掛けていたCシリーズである。それをエアバスが2018年に自社の製品ラインに組み込み、それに合わせて改称した。

ボンバルディアの旅客機というと、日本ではDHC-8が就航しているほか、過去にはジェイエアがCRJを飛ばしていた。それより上位の機体として開発したのがCシリーズ。CS100(100~135席)と、CS300(130~160席)の2モデルがあり、後者の方が胴体が3.7m長い。もちろん、使用する機器や部品の共通性は高く、操縦資格も共通になっている。

ボンバルディアはCシリーズを手掛ける際に、ケベック州の投資公社も交えて、CSALP(C Series Aircraft Limited Partnership)という事業会社を設立した。そのCSALPの株式のうち、過半の50.1%をエアバスが2018年7月に取得、それに合わせて前述の改称を行った。その結果、CS100がA220-100、CS300はA220-300となった(なぜか-200はない)。

こういう経緯から、A220のICAO(International Civil Aviation Organization, 国際民間航空機関)機種コードは現在も、A220-100が「BCS1」、A220-300が「BCS3」となっている。「Bombardier」「C Series」の「100」または「300」というわけだ。

A220は現時点で、21社から551機を受注している。そのうち、-100は7社・90機、-300は18社・461機。エアラインは大型の-300に魅力を感じているようである。ちなみに、日本の空でもA220を見る機会はあり、大韓航空のA220-300が成田、中部、千歳に飛来している。

A220の位置付け

エアバスはこれまで、ラインナップのボトムをA320シリーズとしていた。その中に、過去には短胴型のA318やA319といったモデルが存在したが、A320neoシリーズからは消えている。それによって生じた隙間を埋めるのがA220。エールフランス-KLMグループのように、A318とA319の後継機としてA220-300を発注したエアラインもある。

先に挙げた定員の数字でおわかりの通り、A220はいわゆるリージョナル機と比較すると、1クラス上の機体となる。リージョナル機というと、三菱MRJ改めスペースジェットがなじみ深いが、これは70~90席級のモデルだけで、100席超のモデルは検討段階にとどまっている。しかしA220は全モデルが100席超である。

そのクラスの違いは、胴体の寸法でも確認できる。同じエアバスの単通路機であるA320、A320と競合するボーイング737、A220と機体規模が近いエンブラエルE190、そして三菱スペースジェットの数字を並べてみよう。


機種
胴体最大幅
客室最大幅


エアバスA220
3.5m
3.28m


エアバスA320
3.95m
3.7m


ボーイング737
3.8m
3.54m


エンブラエルE190
3.01m
2.74m


三菱スペースジェット
2.96m
2.76m


普通席の配置を比較すると、A320や737は3列-3列だが、A220は2列-3列、そしてE190とスペースジェットは2列-2列である。これらは、胴体径の違いを反映した結果だ。普通席における1人分の座席幅は45~46cm前後だから、その分が上記5機種における胴体・客室の最大幅における差分になっている。

航続距離はA220-300で6,204kmあり、これはもうリージョナル機というレベルではない。エアバスでは「A220よりも大型の単通路機と同じ性能を発揮できる」としている。実際、日本でのお披露目を終えたC-FFDOはカナダに向けて帰国の途についたが、その途上、中部国際空港からアラスカのフェアバンクスまで、7時間29分かけて一気に直航した。いくら乗客がいない軽い状態とはいえ、リージョナル機にはできない長距離飛行である。

つまり、A320や737と同等の航続性能を持つが、A320や737ではキャパが大きすぎて採算がとれない路線にA220をどうぞ、というわけだ。180分ETOPS(Extended Twin Engine Operations)の認証を得ているので、洋上飛行を伴う国際線にも投入できる。

エアバスが、このA220を日本に持ち込んだのは、日本のエアラインに対してA220をアピールするためである。ここまで述べてきた機体規模などのデータから、「どのエアラインを想定顧客とみているのか」なんてことを考えてみるのも面白そうだ。


著者プロフィール


井上孝司

鉄道・航空といった各種交通機関や軍事分野で、技術分野を中心とする著述活動を展開中のテクニカルライター。

マイクロソフト株式会社を経て1999年春に独立。『戦うコンピュータ(V)3』(潮書房光人社)のように情報通信技術を切口にする展開に加えて、さまざまな分野の記事を手掛ける。マイナビニュースに加えて『軍事研究』『丸』『Jwings』『航空ファン』『世界の艦船』『新幹線EX』などにも寄稿している。

井上孝司

最終更新:8/19(月) 8:58
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