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【ガソリン販売】犯罪防止へ手段尽くす(8月19日)

8/19(月) 9:21配信

福島民報

 「京都アニメーション」放火殺人事件の発生から一カ月が経過した。犯行動機とともにガソリンの入手、運搬方法などを解き明かしながら、ガソリンを使った犯罪の防止に向けて、あらゆる手だてを講じる必要がある。

 捜査関係者によると、容疑者は現場近くのスタンドでガソリンを購入する際に「発電機に使う」と述べたとされ、虚偽の説明だった疑いが持たれている。捜査関係者は携行缶や台車をそろえて、周到な準備を進めたとみている。

 ガソリンスタンドを開業するには、揮発油等の品質の確保等に関する法律に基づき、あらかじめ事務所の所在地を管轄する経済産業局に届け出て登録を受けるよう規定されている。ガソリンは揮発性が高く、引火しやすい。灯油用ポリ容器に入れて運ぶことは消防法で禁じられている。

 事件を受けて総務省消防庁は七月二十五日、携行缶を使う客にガソリンを詰め替え販売する際は、身分証の確認や使用目的の問い掛け、販売記録の作成などを行うように要請する通知を、ガソリンスタンドの事業者団体に出した。

 六百四の給油所が加盟する県石油商業組合は、組合員への緊急要請文を八月一日からホームページに掲載し、携行容器での購入者に対する身元確認の徹底を求めている。

 消防法はガソリンが安全に持ち運べる量を考慮し、携行缶などの金属製は六十リットル以下と販売量を定めている。農業用機械や自家用発電機のため購入する人が多い。手続きの煩雑さを省くために、身分証の提示や購入目的の説明は義務付けていない。利用者の理解を得て、身元確認などに取り組んでほしい。

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で、県民はガソリンや灯油の大切さを実感した。携行缶でガソリンを持参した知人らに助けられた県民が多かったと聞く。

 ただ、ガソリンを使った放火事件は過去にもあった。二〇〇三(平成十五)年九月、名古屋市のビル内に男がまいて爆発させ、三人が死亡した。二〇〇九年七月、大阪市のパチンコ店への放火で五人が亡くなった。悪用されれば重大な事態を招く可能性があることを、重く受け止める姿勢が行政には欠かせない。

 セルフ式スタンドが増えているが、容器への詰め替えは従業員が行うように定められている。ガソリンを売る側と買う側、そして行政や団体などが、正しく使われるための新しい仕組みを検討すべきだ。悲劇を繰り返さないために、社会全体で考えることが求められる。(浦山文夫)

最終更新:8/19(月) 9:21
福島民報

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