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システム開発プロジェクトに存在する複数種類の契約形態:IT業界解説

8/19(月) 7:00配信

@IT

 複雑怪奇なIT“業界”を解説する本連載、第1弾はIT業界にまん延する多重下請け構造と偽装請負について、第2弾は多重下請け構造が起こる仕組みについて説明した。

【様々な契約形態の関係(図版)】

 今回は、複数の会社が参画するシステム開発プロジェクトの「契約関係」を解説する。現在受託開発プロジェクトに従事しているエンジニアは、自分が所属する企業、および自分はどのような契約でプロジェクトに参加しているのか、本記事を参考に確認してもらいたい。また、これからIT業界への就転職を希望している方は、就業先選びの参考にしてほしい。

プロジェクトに混在するさまざまな契約形態

 システム開発プロジェクトは、さまざまな契約形態のIT企業、エンジニアで構成されています。

 多くの場合、SIerなどの大手ベンダーは、ユーザー企業からプロジェクトを一括して「受注」し、開発業務を外注(二次請け以降の企業)に「委託」します。

 企業間の契約は「業務委託」「派遣」に大別され、業務委託には「請負契約」と「準委任契約」があります。そして現場には、「労働者」として参加するメンバーと「個人事業主」として参加するメンバーがいます。

「請負」「派遣」「SES(準委任)」の特徴

 まず、企業間の契約について解説します。

 「請負」「派遣」「SES(準委任)」の特徴については、IT訴訟解説58「SESで働いているけど、客先から直接指示を受けています。これって違法ですか?」に詳しいので、再掲します。

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○請負

 請負契約は、受注者は発注者の望む「成果物の完成」を求められる。

 一方、その作業方法や人員、作業時間など、完成に至る「方法」は、受注者の裁量に任される。例えば、洋服をオーダーメイドで作成する場合、客は、期日までに注文したものが、見積もり通りの価格で出来上がっていれば、誰が、いつ、どのような作業方法で服を作ったかについて関知しないし、できない。契約書で約束した「モノ」とその「数量」がそろっていればいいのだ。

 請負契約には、通常「瑕疵(かし)担保責任」が付けられる。いったん納品した成果物であっても、受け取り時点では気付かなかった欠陥(ソフトウェアにおいてはバグなど)に発注者が後で気付いた場合、民法の定めでは「納品後1年以内であれば、無償で修補を求める」ことができる。

○派遣

 請負と全く逆の性質を持つのが派遣契約だ。顧客が買うのは、派遣される要員の「労働力」であり、働く「時間」によって金額が決まる。「1時間当たり1000円の労働力を月に160時間買うから、16万円支払う」という契約だ。

 派遣されたメンバーは、派遣先の指揮命令、作業管理の下、作業を行う。どのような作業を、どのように実行するのかも、派遣先の指示に従って行う。

 請負と違って、その成果物に責任は負わない。(実際の運用においては微妙なところだが)作ったソフトウェアにバグが残存して使い物にならなかったとしても、定められた時間、真摯(しんし)に作業に取り組んでいれば、その責任を派遣されたメンバーが負うことはない。

○SES

 近頃よく耳にするSESは「準委任契約」に分類される。

 本来、発注者が自身で行うべきITに関する作業を、一定の能力を持った要員が「代わりにやってあげる」という解釈が妥当かと思う。

 「客先で作業を行うのが一般的」という点は派遣とよく似ている。異なるのは、その「指揮命令系統」だ。

 発注者は直接、受注者のメンバーに指示を行うことはできないし、勤怠管理を行うこともできない。それらは受注者の責任者を通して行わなければならない。

 受注者が成果物の完成に責任を持つことはない。作業の手段などは受注者に任され、代わりに受注者は報告書を提出する。

※IT訴訟解説58「SESで働いているけど、客先から直接指示を受けています。これって違法ですか?」より再掲
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最終更新:8/19(月) 7:00
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