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【トレセンの常識 私の非常識】馬運車は「運転手さんつきのリムジン」

8/19(月) 21:45配信

東スポWeb

【トレセンの常識 私の非常識by謎の女記者・赤城真理子】馬運車の「人用スペース」は快適だったなぁ。広いし、揺れないし、寝っ転がれるし、外の景色も見られるし。お気に入りの漫画喫茶よりも良かったなぁ~って、先週のコラムを懐かしんでいる場合ではありません!

 今回はいよいよ「馬運車編」の第2弾。なんてったって“馬”運車ですからね。一番大事なのは…そう、お馬様のスペースなのです。

 トレセンで取材をしていると、「馬運車は昔より相当良くなった」とか、「今は馬運車がいいから、新潟とか小倉くらいなら滞在しなくていい」などとよく聞きます。でも、いったい何が良くなったんだ? ちなみに、私の予想は「ターボエンジン」。田中一征厩務員(エアグルーヴも担当していたすんごいお方)にお聞きすると、「そりゃあ、一番は空調。しっかりしたエアコンがついたことだよ」。そんな単純なことなんですか? いやいや、確かにエアコンはバカにできないかも。私もこの暑さの中、栗東の寮でクーラーかけずに寝てしまって、死にかけましたからね。ほんと。

「夏場なんか特にね。競走馬は暑さに弱いのに、昔の馬運車についていたのは扇風機だけ。しかもそれが中の生ぬるい風を引っかき回すだけのシロモノやったから、あれはもう地獄やったよ」

 空調がつく前は、馬運車内の暑さに弱った馬が輸送熱→肺炎になり、そのまま亡くなってしまう悲しいケースも…。長距離輸送はまさに命がけだったんですね。空調が充実してからは、そういった事故がほとんどなくなったとか。まさにエアコンさまさまです! 

 馬運車の中に馬は最大6頭まで乗せられるそうですが、窮屈にならないよう、実際に乗せるのは多くても4頭。馬の体が当たりそうなところには、しっかり緩衝材がついていますし、床は脚を傷めないようゴム製になっています。

 実際に馬のスペースにも乗せてもらいましたが、その日は雨上がりの超猛暑で外は不快指数MAXの状態。でも中に入ると…涼しい~。天井が高いから圧迫感もゼロですし、一頭一頭のスペース前にはたっぷりと新鮮な餌がもられたおけが。う~ん。まさに貴族の扱い。馬運車は人間の世界で言うなら、家まで迎えに来てくれる「運転手さんつきのリムジン」ってところでしょうか!

 ちなみに、牡馬と牝馬を一緒に乗せるときには必ず牡馬を先に乗せるのが鉄則だそう…って、なんでレディーファーストじゃないんですか?

「牝馬のお尻を向けられると、牡馬はすぐ馬っ気を出しますから」と竹中運送で馬運車の運転手をされている石川さんは苦笑い。ドスケベじゃないですか! いやいや、でも競走馬って、いうなれば全員が血気盛んな若者ですからね。渋々、納得しておきます。最後に竹中運送の副社長、馬場さんに馬運車の未来について思うことを――。

「車の性能を上げる技術も日々進化していますし、もっと馬にとって楽でいい環境となり得る馬運車を作れるようアイデアを出していければ。競馬は馬主さん、厩舎関係者の方、ファンの方…たくさんの方々の夢と希望が一堂に会する場だと思っているので、それを最大限にサポートできるよう、これからも頑張っていきたいです」

 馬が競馬場に来ることは、私にとって“常識”となりかけていました。でも、そうじゃない。全然、当たり前なんかじゃなかったんです。無事に競馬場でお目当ての馬を応援できる“非常識”を大切に思っていきたい。そう感じた取材でした。

最終更新:8/19(月) 21:47
東スポWeb

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