ここから本文です

野村克也「生まれ変わっても沙知代と結婚したい」

8/19(月) 12:00配信

婦人公論.jp

結婚後はかかあ天下まっしぐら(笑)。家で威張ってる男に限って仕事ができないという私なりの持論もあったけど、逆らうと面倒なことになるという気持ちが強かった。

サッチーは自分の思い通りにならないと気が済まない女でね。銀座のホステスからの営業電話がバレて携帯電話を5台くらいへし折られた。浮気なんてする気になれませんでしたよ。もっともあんな怖い女房がいたら、誰も寄ってこないよな。(笑)

でもサッチーは「悪妻」ではなかった。むしろラッキーガールだったと思ってます。現役引退後、これからどうやって食っていこうかと思い悩んでいたら、「なんとかなるわよ」と。実際、私への講演の依頼が後を絶たなかった。

喋るのは苦手だからしんどいと愚痴ると、「ありがたいと思いなさいよ」と言って、どんどん講演を受けてしまうんだ。「俺はこの女に殺されるかもしれないな」と思ったけど、おかげで田園調布に家を持つことができました。

◆妻はピッチャー夫はキャッチャー

沙知代さんは96年、衆院選に出馬するも落選。99年には、浅香光代さんとの「ミッチー・サッチーバトル」が勃発。さらに2001年には約5億6000万円の所得を隠したとして、脱税の疑いで逮捕され、翌年、有罪判決を受けるなど、世間を騒がせ続けた。

ーーーーー

脱税のときは驚いた。特捜部の人に「旦那が知らないわけないだろう」と私も疑いをかけられたけど、金の管理は彼女に任せていたんです。

23日間の勾留期間を経て釈放され、さすがにこたえただろうと思っていたのに、平然としてた。一体、どんな神経をしているのかと私は呆れ果てていたんです。ところが不意に「迷惑かけたわね」と謝られて……。途端に彼女が憐れな女に思えて、切ない気持ちになりましたよ。

女房のせいで2度も監督をクビになるとはね。私の人生は彼女に翻弄されっぱなしでしたが、離婚したいと思ったことは一度もなかった。彼女の良さを熟知していたからでしょう。

優しいところもあったんです。町で赤ちゃんを見かけると、「可愛いわね、抱っこさせて」と寄って行ったりして。

華やかな雰囲気も、前へ前へと突き進むバイタリティーも◎。野球でいえばポジティブ思考で自己顕示欲の強いサッチーはピッチャー、ネガティブ思考で守りに強い私はキャッチャー。

要は「割れ鍋にとじ蓋」だったわけだけど、妻に花を持たせるというのが夫婦の理想的なありようだという気がします。

最後にサッチーの死に顔を見たとき、こんなに私の母と似ていたかな、とハッとした。考えてみれば、二人は勝ち気なところも腹が据わっているところもそっくりなんです。結局のところ、私は強い女が好きなんだね。

生まれ変わってもサッチーと結婚したいかって? 戒名は「惠光院愛絆咲沙大姉」といって、絆で結ばれてるからね。来世もめぐり合って結婚するでしょう。

あんな猛獣とうまくやっていけるのは自分だけだという自負もある。彼女は「冗談じゃないわよ」と言うかもしれないけど。(笑)

野村克也

4/4ページ

最終更新:8/19(月) 14:30
婦人公論.jp

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事