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<北朝鮮内部>「清朝滅亡ドラマ」流行で徹底取り締まり 正恩氏に「不都合な内容」は何? 8月初旬からピリピリ

8/19(月) 11:41配信

アジアプレス・ネットワーク

北朝鮮国内で、「花咲くあの年の月光」という中国ドラマが密かに流行し物議をかもしている。当局は「109常務」と呼ばれる、警察などで作る取り締まり専門チームまで投入して、このドラマを見たり、流通させている者を集中的に捜査している。この中国ドラマの何が、金正恩政権を慌てさせているのだろうか? (カン・ジウォン/石丸次郎)

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北部地域に住む取材協力者が8月中旬、このドラマを巡る騒動について、次のように伝えてきた。

「住民の間で、『花咲くあの年の月光』面白いらしいと評判で、たくさんの人が見ている。当局は、国営ビデオ会社のモクランビデオが販売する公認作品ではなく、朝鮮語字幕がついた不法流通物だとして取り締まっているが、実際は、ドラマの内容が政権に都合が悪いと見ているようだ」

◆腐敗にまみれ滅亡した清朝末期描く

さて、金正恩政権が躍起になって取り締まりを始めたこの中国の人気ドラマ「花咲くあの年の月光」とは、どんな作品なのだろうか? 少し調べてみた。

「花咲くあの年の月光」の原題は「那年花開月正圓」。中国で2017年8月から放送された74部作の人気ドラマだ。韓国では、2018年1月から、中国作品専門のケーブルテレビ局「中華TV」で放送された。

舞台は19世紀終わりの清朝末の時代。絶対王朝が不正腐敗の極みに達し、辛亥革命に向かう過程を描いたものだ。韓国語字幕で放送された。これが何らかのルートで北朝鮮に密かに流入し、地下で複写、販売されて拡散したものと見られる。 

「これまでは、中国ドラマの視聴は摘発されても賄賂を少し出せば目をつぶってくれたが、『花咲くあの年の月光』については、韓国ドラマ並みの厳しい取り締まりをしている。8月初めから、『109常務』が昼夜問わずに民家を不意打ち訪れて検閲している。テレビ、ノートテル、パソコン、携帯電話機まで調べている」

情報を伝えてきた協力者はこう説明する。ノートテルとは、小型のノートブックパソコン程の大きさの動画再生機のことだ。

金正恩政権は、ドラマや映画を中心に、韓国情報の流入に神経を尖らせており、視聴して摘発されると1年未満の短期強制労働、販売流通させた者は2~3年の教化刑(懲役刑)になるのが当たり前になっている。「花咲くあの年の月光」に対しても同程度の厳罰が科されるものと見られる。

5月末以降、地方都市では電力事情が少し好転し、北部地域では、現在1日に4~6時間程度、電気が供給されている。それに伴い、家でこっそり外国ドラマを視聴する人が増えているという。

※追記 今年に入り、民主化闘争をテーマにした韓国の大ヒット映画「タクシー運転手」が若者の間で密かに拡散、金正恩政権は大々的な捜査に乗り出し、多くの逮捕者が出ている。
今回の「花咲くあの年の月光」や、韓国ドラマ・映画は、USBやSDカードで中国から搬入されていると見られる。北朝鮮内に情報流入を目指す活動家によるものと、純粋に金儲け目的で密輸入している北国内のグループのルートがあると見られる。

※アジアプレスでは中国携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

最終更新:8/19(月) 17:59
アジアプレス・ネットワーク

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