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「アベンジャーズ」興収世界一の背後にある、真の「偉業」とは

8/19(月) 19:40配信

マグミクス

街では「MARVEL」Tシャツやヒーローの姿が当たり前に

 世界中で大ヒットを記録した『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、全世界歴代興行収入ランキング1位となりました。日本国内でも、2019年4月の公開とともに話題が沸騰し、興行収入がディズニー史上最速となる7日間で30億円を突破しています。同作品が映画史に残る偉業を達成し、日本でも大きなヒットを成し遂げた背景は何だったのでしょうか。

【画像】街で見かけるのは「当たり前」になった、マーベルグッズたち(6枚)

『エンドゲーム』は、マーベル・コミックを原作としたキャラクターたちのクロスオーバー作品群「MCU」の中核をなす、「アベンジャーズ」シリーズの完結編です。単体作品ではなく、11年間上映してきたMCU作品の伏線をことごとく回収していくという、長期にわたって紡がれる物語が描かれています。感動を何度も味わうためにリピート視聴するファンが多い一方、シリーズ初心者も多く来場していたのも大きなポイントといえるでしょう。

 国内ヒットの背景のひとつは、一種の「お祭り感」。「この大作映画は見ておかなければ」という認識が新規層にも広がり、ヒットにつながったと考えられます。『エンドゲーム』を見た後に、『アイアンマン』『ドクター・ストレンジ』など過去の作品を見る動きもあり、アメコミヒーローそのものに興味が移っていくという現象に、マーベル側も嬉しいに違いありません。

 2000年代の初めごろ、アメコミヒーローといえばスパイダーマンやX-MENの映画のヒットがあったものの、アメコミヒーローへの熱意はまだまだオタク気質な印象でした。

 それが、2019年の日本ではどうでしょう。「MARVEL」のロゴが入ったTシャツやアメコミヒーローの姿を街じゅうで見かけるのはもはや当たり前になっています。日本では原作コミックの広がりはそこまでではありませんが、映画などに存在していたアメコミというものがカルチャーとして日本に根付き始めているのです。

「興収1位」よりも偉業! ヒーローたちを日常に溶けこませた

 ここ数年はポップカルチャーイベント「東京コミコン」も開催。アメコミショップの期間限定店舗が各地に展開し、アパレルブランドとのコラボなどを通じて、アメコミが人の目に触れる機会が増加しています。これはマーベルの地道な宣伝活動の賜物です。『アイアンマン』から始まったMCU作品と並行して宣伝を行ってきたことで、11年後の『エンドゲーム』公開の今年、アメコミは一つの文化として完成し、人びとを映画館に導いたといっていいでしょう。

 マーベルは現在、ディズニーの傘下に入っています。日本人にはファン重視の目線を持ったディズニーの姿が認知されており、今のマーベルの姿勢にもファンに対する思いが強く表れています。エンドゲームの中で描かれる、ファンをゾクゾク、ワクワクさせるような展開や、ハードルを低くし、誰でもわかりやすい作品づくりはファンの増加につながっているでしょう。

 MCUのように「作品がつながり合う」という要素は、キャラクターの背景をより深く知ることができ、作品を見れば見るほど、重厚な世界観を感じることができます。現在は劇場公開後すみやかに映像配信が始まり、見逃してもすぐにチェックしたり、過去作を何度も視聴して補完したりできます。そうした作品の楽しみ方もファンの増加に影響しているはずです(『エンドゲーム』も、2019年8月7日から先行配信が始まっています)。

 この「つながり合う要素」は、連携に失敗すると立て直しに時間もお金もかかってしまうというリスクもありますが、マーベルは映画以外のフィールドで地道に作品を盛り上げ、そうしたリスクを乗り越え、成功するかどうかわからないものを成功させたのです。

 映画の形だけでなく、11年をかけてアメコミヒーローを文化として日常に溶け込ませ、最高の作品に仕上げたことは、「興行収入世界一」以上に「偉業」といえるのではないでしょうか。

大野なおと

最終更新:8/20(火) 9:50
マグミクス

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