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進化する日系EMS企業、M&Aも活発化

8/19(月) 20:40配信

LIMO

本記事の3つのポイント

 ・ 電子機器の受託製造サービスを展開するEMS業界において、日系企業の海外進出が目立っている。背景に車載や空調関連機器の需要拡大
 ・ 車載分野ではティア1・OEM企業がハードからソフト分野にリソースの投下先を切り替えたことで、アウトソーシングのニーズが拡大
 ・ M&Aも活発化。大手電機メーカーから生産拠点・事業を承継し、業容を拡大させるケースも増えている

 シークスなど大手日系EMS(電子機器の受託製造サービス)企業が元気だ。海外生産拠点の新増設やM&Aの動きも活発化している。背景には、車載や空調関連機器の需要が世界的に堅調に推移しており、中長期的にも拡大傾向にあるためだ。

 特に車の安全運転支援システム(ADAS)や電気自動車(EV)などのエコカーニーズの増大で、車1台あたりの電装化比率の向上が追い風となっている。さらに、顧客のOEMメーカーの脱“製造”といった動きに対応して、いち早くビジネスチャンスとみた日系EMSも登場。独自のビジネス戦略を構築することで新たな成長機会をうかがう。

 独自のビジネス戦略と言えば、ユー・エム・シー・エレクトロニクスのLCA(ロー・コスト・オートメーション)戦略も際立っている。SMTラインにおいて主要なチップマウンター装置以外はほぼ内製化してしまうほどのモノづくり力を武器に、新たなEMS事業の新機軸を打ち出すところもある。

「CASE」で車のビジネスモデルが激変

 車載市場を巡り、日系EMSの存在感が高まりつつある。これには車・ティア1業界のビジネスモデルの変化が大きく関係している。

 車ビジネスでは従来のメカニカル中心のモノづくりから、「CASE」と呼ばれるコネクテッドや自動運転、カーシェアなどのサービス、エコカーに代表される、ビジネス戦略の競争軸が以前とは大きく変わってきた。この結果、車の組立メーカーやティア1と呼ばれる電装部品メーカーらが、このCASEという新たなビジネスモデルに経営リソースを注力する一方で、既存の成熟したECU(エレクトロニクス・コントロールユニット)製品やアクセサリー系などの比較的製造難易度の低い製品の生産を外部委託する事例が増えてきている。これは世界的な自動車産業のうねりで、国内外の自動車関連企業から、信頼できるモノづくりで定評のある日系EMS企業に発注する事例が増えているのだ。

 その代表事例が、日系EMS最大手のシークスの取り組みだ。このほど、世界最大のティア1企業である独ロバート・ボッシュからカーマルチメディア用基板実装を受託した。早速、シークスは19年末からハンガリー工場で量産を開始する予定である。日系EMSが海外大手ティア1から製造受託するのは珍しい。同社では今後、非日系顧客との取引を20年までに売上高の2割まで拡大させるなど、一気にグローバル展開を加速させる。

 また、米中貿易戦争が熾烈さを増すなか、生産拠点の分散化(グローバル化)対応も急務となっている。米トランプ政権は対中国貿易への追加関税「第4弾」を2019年9月1日から発動すると表明しており、両国の貿易戦争は泥沼化してきた。中国でのモノづくりが極めてリスクが高くなり、製造業はポスト中国生産に本気で向き合わねばならない状況になっている。車載関連では中国一辺倒からベトナム、タイなどのASEANへの展開に加えて、メキシコや旧東欧など、それぞれ最大消費地の近くに生産拠点を構えるケースが目立ち始めた。最終供給先をにらみながら拠点網の最適化に対応する狙いがある。

 シークスは、先のハンガリーやメキシコをはじめ、グローバルでSMTラインの増強・更新を実施し、需要が拡大している車載関連を中心に対応力を高める。このため19年12月期の設備投資額として、高水準の112億円を計画する。ハンガリー工場ではボッシュ向けのカーマルチメディア用基板実装の量産を開始するほか、日系・非日系を問わず車載関連を中心に引き合いが増えているため、継続してラインを増強していく。将来的にはハンガリー工場で12ライン体制まで構築する計画だ。

 そのほか、米州地域では24億円を投じ、メキシコ拠点でのライン増強などを実施する。タイ拠点では7ラインの更新投資などに20億円を投じる予定だ。ポスト中国生産の布石ともいえる。

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最終更新:8/19(月) 20:40
LIMO

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