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「増税しなくても国の財政は大丈夫」ってホント?3つの“俗説”の誤りをデータと事実で解説

8/20(火) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

2020年度の国の予算をつくる作業が始まっています。

国の借金は1000兆円を超えて膨らみ続け、台所事情は「先進国で最悪」と言われます。「このままではいつか財政が破綻する。もっと収支改善の努力が必要だ」という見方は、専門家の間ではほぼ一致しています。

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ただ、「そんなことしなくても大丈夫。以前から『財政は破綻する』と言われてきたのに、何も起きていないわけだし」と考える人も少なくないようです。そうした考え方の根拠とされがちな3つの「俗説」のどこに問題があるのか、ざっくり解説します。

社会保障と借金返済に予算の7割強を使っている

俗説(1)増税しなくてもムダをなくせば財政は再建できる

まず、国の財政の現状を見てみましょう。

ふつう「国の予算」と呼ばれてメディアで大きく報じられるのは「一般会計」ですが、それとは別に国の借金返済に回すお金や、公的年金や健康保険にかかわるお金などを一般会計とは別に管理するさまざまな「特別会計」があります。財政の全体像をつかむには、これらをトータルで見る方がいいです。

国の予算は最近では「100兆円規模」と言われますが、これは一般会計に限った話です。特別会計も合わせるとその倍以上になります。

2019年度分を見ると、支出額は243.2兆円【図表】。うち年金、医療、介護といった「社会保障費」と、国が積み重ねてきた借金の返済に回すお金である「国債費」がそれぞれ4割弱を占め、都道府県や市町村にお金を回す「地方交付税交付金」が1割弱で続きます。

「ムダ減らし」だけでは財政再建はできない

少子高齢化が深刻化するなか、政府は年金の支給額の伸びを抑えたり、働く世代が負担する保険料を引き上げたりといった対策をとってはいますが、それでも社会保障費は年々膨らみ続けています。

この先も支出を抑える努力を続けることは必要ですが、社会保障費を極端に切り詰めすぎれば、「年金が少なすぎて生活できない」「お金がかかりすぎるから病院に行けない」といった形で私たちの暮らしに深刻な影響が出ます。

金利がものすごく低い状態が続いているため、巨額の借金を抱えている割に国債費は少なくて済んでいます。しかし当面、借金の残高は増えていく見通しなので、少なくとも国債費が減っていくようなことは期待できません。

ごく一部の例外を除けば、都道府県や市町村の財政も軒並み苦しいので、いったん国が集めた税金を自治体に配る地方交付税交付金を大きく減らすのは簡単ではありません。

これらの3項目以外が予算全体に占める割合は、たったの2割弱にすぎません。

【図表】の「その他」には公共事業や教育、防衛といったさまざまな項目が並んでいます。1円だって国民のお金をムダに使うことは許されませんが、徹底的に支出を見直したとしても、残念ながら節約できる金額は全体から見れば大きくはありません。

社会保障費は2019年度までの6年間で平均2.6兆円ずつ増えていますが、この金額を例えば防衛費の2019年度の予算額と比べると、ほぼ半分にあたります。

「防衛費を削って社会保障を充実させよう」といった考え方自体はもちろんあり得ますが、防衛費を半分に削ったとしても社会保障費がたった1年間に増える分さえ賄えるかどうか、といったところです。その他の項目を見ても、社会保障費とは金額のスケールが違いすぎますよね。

常にムダを減らす努力は必要ですが、それだけではどう考えても財政再建の決定打にはなりません。

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最終更新:8/20(火) 20:00
BUSINESS INSIDER JAPAN

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