ここから本文です

「ニュースな音」を求めて 音の職人はここにも……

8/20(火) 11:30配信

ニッポン放送

「報道部畑中デスクの独り言」(第146回)

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、音声メディアにおいて重要な「音」についての工夫について—

「“音はどこだ?” 現場に行ってまずチェックすること」

ラジオ局の記者は取材現場に行くと、まず確認することがあります。それは何が「ニュースな音か」ということ。ニュースの当事者にマイクを向けて話を聞くこと、もちろんこれも大変重要ですが、その他にも音という音がニュースになり得ます。それは人の声だけではありません。

火事が起きれば消防車のサイレンや現場の喧騒、交通障害が起きれば駅のスピーカーからの案内音声。人々が何かを求めてどこかで行列ができれば、行列を整理する店員のアナウンス。大雨が起きれば地面や傘をたたく雨音の激しさ、台風があれば突風の風切り音……いわゆる「ノイズ」も重要な音になります。

私は自動車関連の取材をしていますが、自動車であればエンジンのメカニカルノイズもニュースな音です。しかし、最近は電動化された車両も多く、そうなるとエンジンの音がしない、限りなく静かなモーター音でさえ、時代を切り取る音になり得ます。映像がないラジオにとって、こうした音は何よりも重要なのです。

音声メディアらしい現場の音を伝えるにはどうしたらいいか? 警視庁担当時代にこんなことがありました。東京・立川市で起きた殺人事件、遺体がマンホール下の排水口から発見されたというものでした。

まずは「地取り」と呼ばれる取材…現場周辺の目撃者や、被害者の周辺情報を集めるのに奔走します。そうした声から、事件解決につながるコメントをつかむのはもちろん重要です。ただ、その他にラジオとして伝えられる音はないだろうか……私はマンホールに直接マイクを当ててみました。マンホールの厚い鉄板は「ゴーーーーッ」という、激しくかつ冷徹な下水の流れを伝えて来ました。

被害者の遺体はこの下水の流れのなかにさらされていました。その無念さはいかばかりであったか? 私はこれも事件の凄惨さを伝える「ニュースな音」だと思い、録音機で収録しました。

真夜中に人通りの少ない場所で、棒(マイク)をマンホールに当てる記者……端から見たら、果てしなく怪しい動きに見えるかもしれません。が、これも仕事です。翌朝の番組でこの音を放送に反映させました。

1/2ページ

最終更新:8/20(火) 11:30
ニッポン放送

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事