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国内リーグの空洞化を防ぐ若手育成計画“プロジェクトDNA”

8/20(火) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【Jリーガー海外大量移籍の深層】#4

 海外大量移籍時代に突入して「国内の若いスター選手が次々と海外へ行ってしまうと、Jリーグの注目度低下は避けられない」と危惧する声は少なくない。今の日本サッカー界の看板である久保建英(18=レアル・マドリード)を筆頭に、森保一監督率いる日本代表に名を連ねるようなタレントは大半が海外組だ。こうした中、より魅力的なJリーグをつくるにはどうしたらいいのか。真剣に考えなければならないテーマだ。

 ◇  ◇  ◇

 1993年のJ発足から26年が経過し、日本人選手のレベルアップは著しい。イニエスタやビジャ(ともに神戸)のような世界的スターも参戦するなどJリーグの質も注目度も確実に上がっている。

 一方で「欧州に行かなければ本物の世界基準は体感できない」と言う若手が多いのも事実だ。

 6月のコパ・アメリカ(ブラジル)に参戦した杉岡大暉(湘南)も「日本だったら多少クロスを上げられても失点に直結することは少ないけど、コパでは違った。外でやらなきゃ経験できないものがあると分かった」と海外を意識し始めたことを明かした。

 けれども、仮にJリーグがサッカーの質や待遇面で欧州と同等レベルになれば、国内残留を選ぶ人間も出てくるはず。「『海外に出たから厳しい間合いを経験できる』のではなくて『Jにいても当たり前のように世界基準を体感できる』となるべき。Jの可能性は無限大だし、まだまだ成長できる余地が残されている」と川島永嗣(ストラスブール)も言う。メキシコなどはリーグレベルも年俸も高いため、トップ選手が国内にとどまる傾向が強い。そういう例があることも念頭に置く必要があるだろう。

■審判のレベルアップも不可欠

 とはいえ、2度のドイツ挑戦に失敗して帰国した宇佐美貴史(G大阪)、昨季ベルギーのシントトロイデンで出番を得られなかった関根貴大(浦和)らがJ復帰直後から大活躍する姿を見せられると、日本と欧州の差を痛感させられる部分も少なくない。もちろん彼らが所属した欧州クラブの事情や監督の思惑も出番の有無に影響したのだろうが、復帰組が苦労するくらいのレベルにJ全体を引き上げるべく、関係者にはより一層の努力が求められるのだ。

 Jリーグは10年間で2100億円というDAZNマネーを手にして以来、優勝賞金増額によってアジアで恒常的に勝てるビッグクラブをつくろうとしたり、外国人枠の拡大でレベルアップを図ろうとしている。VAR(ビデオ判定)本格導入も検討中だが、欧州に近づきたいのなら、そこは真っ先に取り組むべき課題と言っていい。

「ドイツの審判はうまいし、選手との信頼関係もしっかりしていた。判定に疑問もほぼ出ないし、やってて気持ちがよかった」と内田篤人(鹿島)も語っていたことがある。

 彼のような欧州経験豊富な選手の意見を取り入れ、現場を改革するような試みもあっていい。

 育成に関しても、今年から「プロジェクトDNA」というワールドクラスの選手輩出プロジェクトがスタート。活動を指揮するイングランド人のテリー・ウェストリー氏は「2~3年後には平均年齢20代前半のチームがいくつか出てきてほしい」と理想を掲げる。ただ、若い才能が引き抜かれるケースは増えるだろう。抜けた人間の穴をすぐ埋められる若手がアカデミーや高校、町クラブで量産される体制をつくらなければいけない。

 海外大量移籍時代の到来は、日本サッカー全体を見直すべき好機。そう捉えることができれば、Jリーグも前向きな方向に進むはずだ。

(元川悦子/サッカージャーナリスト)

最終更新:8/20(火) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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