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感染力はインフルの5倍 流行中の「百日咳」はこんなに恐ろしい

8/20(火) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「百日咳」と聞いても、あまりピンと来ない人もいるのではないか。いま、この百日咳の患者が増え続けている。私たちはどう対策を取ればいいのか? 東京・米山医院の米山公啓院長に話を聞いた。

 国立感染症研究所が毎週火曜日に発表している内容によると、百日咳の患者の報告数は、7月29日から8月4日までの1週間で231人。今年の累積報告数は1万110人に達している。都道府県別の累積報告数を見ると、東京885人、福岡652人、千葉628人、大阪555人だという。百日咳は2018年からすべての医師が全患者数を報告することとなった。18年は暫定値で1万1190人。

「百日咳が恐ろしいのは、母親からの免疫が十分ではない乳児が感染した場合、死亡するリスクがあることです。大人では命にかかわることはありませんが、乳児や子どもへの感染を考えると、もしかしてと思ったら早い段階での医療機関の受診が望ましい。小さなお子さんがいる家庭ではなおさらです。そして何より、お子さんに百日咳が疑われる症状が見られたら、すぐに小児科を受診してください」(米山院長=以下同)

 WHOの発表でも、重症化しやすく、死亡者の大半を占めるのは1歳未満の乳児、特に生後6カ月未満の乳児となっている。

■咳が出始めてから3週間ほどで菌を排出

 百日咳は一般的に、百日咳菌への感染で発症する。感染経路は、咳やくしゃみなどの飛沫感染および接触感染だ。感染力はインフルエンザの5倍ともいわれている。となると、マスクで予防、または感染拡大を防ぐのはどう考えても困難だ。

「最初は普通の風邪と見分けがつきません。次第に咳の回数が増えて、ひどくなってきます。2~3週間くらいすると、息を吸う時にヒューヒューという音が出て、短い咳が断続的に起こります。夜間の方が症状が強く出やすい。熱はなく、あっても微熱程度です」

 ただし、必ずしも典型的な症状として出てくるとは限らない。乳児では咳はほとんどなく、息を止めているような無呼吸発作から始まり、チアノーゼ、けいれん、呼吸停止と進むこともある。合併症として肺炎、脳症もある。

 また、大人では咳は長く続くものの、それほどひどい状況にならないケースが珍しくない。数週間で回復に向かい、百日咳を起こしている本人は日常生活に支障がないが、前述の通り、乳児や子どもへうつす可能性がある。そうなると、「咳が続くだけ」で済まない。

「繰り返しになりますが、乳児や子どもへの感染予防のために、大人の百日咳にも注意しなければなりません」

 大人の長引く咳では、「咳喘息」と間違えられやすいが、医療機関では医師に「百日咳ではないのか」と確認しよう。親がどこかで感染してきて、適切な診察・治療を受けずにいたために、子どもにうつしてしまう。夏休みが明けて子どもが学校に登校し始め、今度は同級生に感染させる……。こんな事態はなんとしても避けたい。

 2016年から百日咳菌に対する抗体を測定する検査キットが健康保険適用となっている。乳児・子どもも大人も長引く咳があれば、症状の程度は関係なく、百日咳の有無を調べた方がいい。患者からの百日咳菌の排出は、咳が出始めてから3週間ほど持続する。しかし生後6カ月以上の患者に用いられる百日咳の治療薬、マクロライド系抗菌薬を服用すれば、5日くらいで、他人へうつさないようになる。

 なお、百日咳と判明したら、「特有の咳が消えるまで」あるいは「抗菌薬の5日間の治療が終了するまで」、子どもの場合は出席停止。周囲への影響を考えると、大人も出社を控えるべきだろう。

最終更新:8/20(火) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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