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“アジアのシリコンバレー”深センは何がスゴイのか。大湾区構想のカギとなる都市は「世界の実験場」

8/20(火) 7:56配信

ハフポスト日本版

「大湾区構想」が中国で進んでいる。

中国政府が進める、大陸南部の都市や香港、それにマカオを巻き込んだ巨大な経済圏構想のことで、2019年2月にその概要が発表された。習近平国家主席肝入りの国家プロジェクトとされ、英語では「Greater Bay Area」と呼ぶ。

その中心的なプレイヤーとして期待されるのが広東省深セン市だ。

中国が推し進める経済圏プロジェクトとはどのようなものか。

そして、計画の鍵を握る深センの現状と未来は。深センでビジネスを手がける、エクサイジングジャパンの川ノ上和文CEOに話を聞いた。

すでに韓国のGDPに匹敵

大湾区構想とは何か。政府の発表した概要を見てみよう。

中国本土では広東省の広州市や東莞市、それに深セン市など9市が含まれる。これにかつてポルトガル領だったマカオや、イギリスから返還された香港が入る。全体の面積は約5.6万平方キロ。九州全体のおよそ1.5倍の広さにあたる。

域内の人口は約7000万人。GDP(域内総生産)は1兆5000万ドル以上で、すでに韓国とほぼ同じ規模だ。

これらの地区にはそれぞれ個性がある。

まず、マカオと聞けば「カジノ」が思いつく人も多いだろう。国際IR(統合型リゾート)都市として発展してきた基盤がある。

そこに国際金融都市の香港と、中国本土の9市が加わる。このエリアは安い人件費で発展してきた地域と、起業を目指す若者が集まる「アジアのシリコンバレー」深センがある。

こうした地域の強みを海上橋などで物理的にもリンクさせ、経済発展を促すのが構想の目的だ。

計画は2035年が一つの区切りとされ、「経済力やテクノロジーを大幅に増強し、国際競争力をつけ、イノベーションで発展を遂げる地域にする」ことを目指す。

深センで感じた“変化”

大湾区構想において重要なプレイヤーの一つが、香港に隣接する広東省の深セン市だ。

アメリカと中国の貿易戦争にも登場する通信機器メーカー・ファーウェイや、「ウィーチャット」に代表されるSNSの開発・運営などを手がけるテンセント、それに「ファントム」シリーズを世に打ち出したドローンの世界最大手・DJIなどが拠点を構える。

工場労働者の中にも、高い技術を必要とする作業をこなす熟練工が多いとされるうえ、華強北(ふあちゃんべい)地区など大規模な電気街があり、ITやテクノロジー系の起業家たちが集まる「生態系」が出来上がっている。

この街の変化を、現場でビジネスを展開する人はどう感じているのだろうか。

深センで現地企業と日本企業の橋渡しを行う「エクサイジングジャパン」のCEOでありながら、ドローン産業にも携わる川ノ上和文さんに話を聞いた。

ドローン産業のリサーチのため、2016年から深センに関わり始めた川ノ上さん。街の著しい変化を肌で感じてきた。

川ノ上さん:
まずは車の変化がありました。私が深センに行き始めた頃(2016年)はまだガソリン車のタクシーが普通にあったんですけど、2年でほぼ見なくなった。EV(電気自動車)は、ナンバープレートを見ればわかるので、一般車でも特にEVが増えたかなと思います。
サービスとしては、無人カラオケボックスとかも2年前とかにぽろっと現れ、今や各商業施設にはほぼ入っているまで広がった。一個のビジネスが始まり、荒れて、条例が作られ、淘汰が進み...こういうスピード感はすごく面白いなと。深センは、特に色々な方面で進んでいるのは感じますね。

変化しているのは産業だけではない。政府ぐるみで力を入れ、成長を続けるのが教育だ。

その象徴的な例が南方科技大学だ。2011年に設立されたばかりにも関わらず、イギリスの教育情報誌が発表した「アジア大学ランキング」で41位にノミネート。これは大阪大学の一つ下の順位だ。

川ノ上さん:
深センは、“研究をすることで補助金や研究金与えます”というインセンティブが非常に高いんです。人材を集めるためにはいい先生を呼ばないといけないということで、今の南方科技大学はお金を出してでも(実績のある)先生を集められるパワーと環境を用意しています。
いい先生がいると「その先生から学びたい」という学生が集まってくるので、優秀な人が集まってきます。

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最終更新:8/20(火) 9:39
ハフポスト日本版

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