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抗議デモ、衝突、失われた信用──香港の新たな日常

8/20(火) 12:43配信

The Guardian

【記者:Lily Kuo】
 ビヤンカ・チューさん(22)が住む香港の黄大仙区は、労働者階級の住宅地だ。警官隊と民主派のデモ隊の衝突が3日続いた夜、地面にはペットボトルや壊れた傘、催涙スプレーの空き缶が散乱していた。

 きゃしゃな体を全身黒い服で覆ったチューさんはバリケードを乗り越え、野球帽を脱いでガスマスクをつけた。「戦いの準備はいい?」仲間にそう呼びかけ、そろって立ち去った。30分もしないうちに、警官隊が催涙弾やゴム弾を放ち、デモ参加者を逮捕し始め、デモ隊は解散した。

 チューさんはその後、柄が入ったタンクトップとジーンズ姿で再び現れた。散歩中の普通の大学生に見えるように着替えたのだ。次の抗議活動に関する情報をスマートフォンでチェックし、消えて行った。

 抗議活動や衝突は、いまや香港の日常と化した。人口700万人、かつてはアジアで最も安全な街の一つと評されていた。だが、今年6月、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の撤回を求める抗議活動が起き、より幅広い反政府運動へと発展した。

 市民にとって一連の抗議デモは、生活だけではなく、政府や警察への見方も一変させた。専門家らによると、あまりにも完全に信用を失ったため、この先香港政府が再び効果的に統治できる日が来るのかは、不透明だという。

 香港中文大学のマー・ニョック准教授は、「香港政府は一世代すべての信頼を失った」と話す。「力ずくで、あるいは取り締まりによってこの動きが失速する可能性はあるが、政府が特に若い世代の信用を取り戻したことにはならない。これから先、何年にもわたって政府と警察に対する怒りを抱え続けることになるだろう」

 デモ行進や抗議集会は長らく、香港市民の生活の一部となってきたが、ここ2か月で様相は一変した。さらに、ここ数週間で衝突が激化し、暴力を伴うようになった。デモ隊と警官隊の両者とも疲弊して怒りを蓄積させているものの、いずれにも引き下がる兆しはない。

 世界で最も人口密度が高く、活気に満ちた都市の一つである香港は、外出を控える人が徐々に増え、静かになった。ギャングらしき集団が、デモ隊やその場に居合わせた人たちを攻撃しようと控えている、とのうわさが常に出回っている。実際に先月、駅の構内や抗議デモで、そのような事件が発生している。

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最終更新:8/20(火) 12:54
The Guardian

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