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磨いた話芸 男の美学 人間国宝の認定決まった講談師 神田松鯉さん 松之丞さんら後進育成に尽力

8/20(火) 6:02配信

上毛新聞

 群馬県伊勢崎市出身の講談師、神田松鯉さん(76)=東京都板橋区=が国重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されることが決まった。伝統的な講談の技法を高度に体現するほか、「講談界の風雲児」として人気の神田松之丞さんら後進育成への努力が認められた。松鯉さんに磨き上げた話芸と業界発展に懸ける思いを聞いた。(三神和晃)

―講談師としては一龍斎貞水さん以来2人目の人間国宝になる。持ちネタは500以上と聞く。

 大きな喜びを感じるが、お上の看板を背負うことになるので身を引き締めたい。先人が培ってきた膨大なネタを伝承し、後進を育てる責任があると思っている。

 講談で大切にしてきたのは男の美学。源義経と家来・弁慶の物語である「勧進帳」がそれをよく表している。義経のために忠義を尽くし、自己犠牲を払う弁慶の姿は典型例。いかに男として美しく生きるかを伝えてきた。師匠である2代目神田山陽が大事にした大岡政談の一つ「徳川天一坊」にも思い入れは強い。

―今も年間250席以上務めている。

 モチベーションの源は、講談界を盛り上げるためにアピールしたいという気持ち。移動はなるべく歩くようにして、しっかり休むことで、体力を保っている。

 同時に、長い物語を複数回にわたり話す連続物の記録に取り組む東京文化財研究所に協力し、「幡随院(ばんずいいん)長兵衛」や「天明白浪伝」の実演を記録した。やり手がいなくなると途絶えるので、映像を記録として残したい。一つの物語を終えるのに数日かかる連続物こそ講談師の技量を磨き、バックボーンとなる。映像だけで全てを伝え切れないので、伝承には直接指導が大事だ。

―自身の下積み経験と弟子の育成は。

 人材不足もあって、入門3年で二つ目に昇進したが、下積み期間は役に立った。寄席の準備から掃除、お茶入れまでした。「捨て目、捨て耳を利かせる」という言葉があるが、雑用をこなしながら先輩の芸談を聞き、立ち振る舞いを観察することが勉強になった。こうしたご時世でも下積みは大切だが、若い人が縮こまらないように、稽古をしっかりやれば多少のことには目をつむる度量も必要だ。

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最終更新:8/20(火) 6:02
上毛新聞

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