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欧州産ワイン拡大もチリ産は不振 日欧EPAのジレンマ

8/20(火) 20:02配信

日本食糧新聞

日本のワイン業界が2月に発効した欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)のジレンマに直面している。発効から約半年。関税撤廃された欧州産ワインが広がった半面、これまで市場をけん引してきたチリ産の消費に陰りが見られる。総市場は足元で前年割れとなったもよう。チリ産の減少分を補い切れていない中、今秋にも食品スーパーなどの小売で棚割の見直しが検討されそうだ。

欧州産値下げ効果は限定的

国内ワイン市場は2015年をピークに踊り場を迎えている。2019年上期(1~6月)は、前年比2~3%減で推移したと予想される。ワイン飲用者が缶チューハイなどのRTD(レディー・トゥ・ドリンク)に流出する動きが依然として止まらない様子。10月には消費増税が迫る中、年間では1~2%減と前年を下回る着地となりそうだ。

8月1日でEPAの発効から半年が経過した。2月にはEPA発効を機に一部小売店で欧州産の値下げが始まったほか、欧州産の新商品が相次ぎ投入されるなどして店頭での取り扱いが増え、市場で欧州産の構成比率が高まった。消費者の選択肢が増え、市場全体の活性化につながると期待されていたが、EPAはワイン需要全体を押し上げる「起爆剤」にはならなかった。

欧州産のフェースが拡大した一方で、チリを中心としたニューワールドのフェース数が減少傾向となった。2019年1~6月の輸入通関を見ても欧州からの輸入量は増えたが、チリは減少した。これを受け10月以降、小売店頭で一時縮めたチリ産の構成比がEPA発効前の状態に戻るとの見方もある。

EPAによる小売店頭での欧州産値下げ効果は限定的だった。背景には欧州産の価格訴求に終始し、消費者にワイン本来の価値である産地、品種、物語性といった多様性や魅力を伝え切れていないと指摘する声が多い。「日欧EPA・関税撤廃セール」という宣伝文句も長い期間使える話題ではない。価格訴求からワイン自体の価値を重視した提案にシフトする必要性が高まっている。

今回のEPAでは、欧州産のボトル1本当たりスティルワイン(非発泡)で最大約93円、スパークリングワイン(発泡)で最大約136円の関税がゼロになり安く輸入できるようになった。スパークリングワイン市場は、今後も伸長が見込まれるカテゴリーで、関税の撤廃幅も大きいため各社は年末の最需要期に向けた提案に注力する。

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最終更新:8/20(火) 20:02
日本食糧新聞

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