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「ワイド周遊券」の魅力を振り返る 1980年代の鉄道旅行節約テク、現在はほぼ無理?

8/20(火) 6:00配信

乗りものニュース

国鉄時代、多くの鉄道ファンに愛された「ワイド周遊券」

 夏休みまっただ中。この夏も、JRグループからは全国の普通列車に乗り放題となる「青春18きっぷ」が発売され、鉄道ファンが“激安旅行”を楽しんでいます。

【写真】宗谷本線の天塩川温泉仮乗降場

 いまでは「乗り鉄」とも呼ばれる鉄道旅行愛好家は、時代とともに様々なきっぷを愛用してきました。筆者(栗原 景:フォトライター)も、小学生だった1980年代前半から、お得なきっぷを活用して北海道を中心に全国の国鉄・JRを乗り歩いてきました。このころ、鉄道ファンに絶大な人気を誇っていたのが、「ワイド周遊券」です。自由周遊区間と呼ばれるエリア内の国鉄・JR線及びバスが乗り放題となるきっぷで、出発地から自由周遊区間までのA券と、乗り放題兼帰りのきっぷであるB券の2枚つづりで、廃止直前の1998(平成10)年時点では、北海道・道南・東北・南東北・信州・南近畿・北近畿・山陰・四国・九州・北九州の11種類が販売されていました。

 ワイド周遊券の人気のひみつは、自由周遊区間の広さと汎用性の高さにありました。当時は全線乗車した人を国鉄が認定する「いい旅チャレンジ20,000kmキャンペーン」が行われるなど、全線完乗を目指す「乗りつぶし派」が大勢いた時代。北海道全線、九州全線など広い範囲をいくらでも乗り降りできるワイド周遊券は、まさに乗りつぶし派のためのきっぷと言えました。行き帰りの経路では急行、自由周遊区間内では特急・急行の普通車自由席に乗り放題で、最大20日間という長い有効期間も魅力でした。

夜行などで宿代を節減できた時代

 自由周遊区間内ではほとんどすべての列車に乗車できる“無敵のきっぷ”だったワイド周遊券。それほど便利でありながら、価格はかなり低く抑えられていました。例えば、東京都区内発の「北海道ワイド周遊券」は、国鉄末期の1982(昭和57)年当時で大人が3万1500円、学割は2万3300円。東京都区内~稚内間の往復割引運賃は大人2万4120円、学割は1万9290円でしたから、約3週間、北海道のすべての列車に自由に乗車できることを考えれば、極めて割安と言えました。

 そんな、安くて便利なワイド周遊券。当時の鉄道ファンは、このきっぷを極限まで使いこなして、さらにお得に使おうと知恵を絞りました。そのひとつが、「夜行連泊」です。90年代まで、主要路線にはたいてい夜行急行が設定されており、若い鉄道ファンは連日これらの列車に乗ることで宿泊代を浮かしていました。

 そして、それを一歩進めたワザが、「夜行折り返し」です。これは、深夜の停車駅で反対方向の列車に乗り換え、前夜の出発駅に戻るというもので、札幌~網走間の急行「大雪」を上川駅で乗り換えて札幌(または網走)に戻る「大雪返し」、札幌~釧路間の急行「まりも」を新得駅で乗り換える「まりも返し」が有名でした。寝過ごして戻れなくなることもありましたが、ワイド周遊券なら乗り放題なので、予定を変えればなんとでもなります。そんな自由さも、ワイド周遊券の魅力でした。

「東北ワイド周遊券」でも、福島駅で奥羽本線経由の上り急行「津軽」から下り急行「津軽」に乗り換える「津軽返し」がありましたが、こちらは寝過ごすと自由周遊区間を抜けて東京へ戻ってしまうので、寝過ごせないというプレッシャーを感じたものです。

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最終更新:8/20(火) 13:58
乗りものニュース

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