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危ない会社の「見分け方」を帝国データバンク社員から聞く

8/21(水) 11:06配信

マイナビニュース

危ない会社の「見分け方」を帝国データバンク社員から聞く

日本最大級の企業情報データベースを持つ大手信用調査会社と知られる帝国データバンク。全国83カ所の拠点で約1,700人の調査員が日々3,000社もの会社を調査しており、精緻な企業情報を顧客に迅速に提供することで健全な経済活動を支援しているという。

【図表】危ない会社を見分ける99のチェックポイント

120年にも及ぶ同社の歴史の中で、50年以上企業倒産の現場を取材、倒産要因などを分析し、会社が倒産する前兆に関するノウハウを蓄積しているのが同社の情報部だ。

同社の情報部 情報取材編集課 課長 丸山昌吾氏、データソリューション企画部 情報統括課課長 遠峰英利氏より「倒産する会社のシグナル」について伺ったので、取引先、勤務先、転職先、就職先などで「危ない会社」=ババを引かないために、同社のノウハウを活用してほしい。

社長や社員に見る倒産のリスク

闇営業に端を発した吉本興業のコンプライアンス問題など、会社を判断する際に「寄らば大樹=大手企業なら安心」が通用しない今日、「転ばぬ先の杖」を手に入れることが大切だろう。書籍『倒産の前兆 30社の悲劇に学ぶ失敗の法則』(SBクリエイティブ)を出版した帝国データバンクの二人によれば、社長や社員の特徴から倒産のリスクを判断できるという。

丸山氏「当社のCCR信用調査報告書の代表者欄には社長のタイプを分類する30弱の項目があります。その蓄積されたデータをみると、倒産した社長のタイプで、一番多かったのが売り上げや利益など経営に重要な数字に弱い『計数面不得手』な人、二番目が度量が大きく快活で、些細なことにこだわらない『豪放磊落』な人、そして三番目が『人情味に厚い』人でした。

三番目は意外に思うかもしれませんが、会社経営ではいい時もあれば悪い時もあります。人情味に厚いと、経営が悪くなっても大胆なリストラができず、倒産にいたることもあるのです」。

社長の人柄は、実際に接したことがないと分からないかもしれないが、社員の様子や社内の雰囲気でもシグナルがあるそうだ。

丸山氏「社員の傾向だと、言葉遣いや服装が乱れていたり、担当者が頻繁に変わったり、社内の雰囲気が悪いといったケースです。会社が業績不振だと、どうしても社員のモチベーションが下がり、社内の雰囲気が悪くなってしまうものです」。

会社の業績が極端に悪化すると、資金繰りに関する連絡が多くなり、職場にはネガティブな空気がはびこる。そうした社員や社内の様子は、商談や就職活動等で会社を訪問すれば分かるとのこと。参考にしたいポイントだ。

倒産のシグナルを外からつかむ

倒産の前兆として、売り上げの減少といった目で見える変化なら分かりやすい。だが、会社が不正会計をしている場合、見抜くことは難しい。しかも、最近の倒産では、粉飾決算をしていることが多いという。そこで外側からでもつかめる「倒産のシグナル」についても紹介してくれた。

丸山氏「分かりやすいのは、取締役や経理部長といった幹部社員の退職でしょう。会社の経営状況がよく見える立場の社員が辞めるのは、経営に何らかの問題がある場合が少なくありません。また、デスクロジャーに関する対応がシグナルになる場合もあります」。

例として挙げたのは、2017年に倒産した旅行会社の「てるみくらぶ」。従来は経営に関するデータを公開していたが、あるときから急にデータを非公開に変えたのだという。

丸山氏「それから、わずか3年で同社は倒産。裁判所に提出された申立書で確認すると、非開示になった時から営業赤字となっていました」。

株式上場を控えるなど、それなりの理由があれば良いが、たいした理由もなく非公開にするのは経営データを隠したいからだろう。経営状況が思わしくないことが容易に類推できる。ディスクローズの義務がない中小企業の場合はどうだろうか。

遠峰氏「中小企業の場合は、電話応対の変化などでも倒産のシグナルがでるケースがあります。いままで必ずワンコールで電話に出ていた会社が、スリーコールになり、ファイブコールにならないと出なくなってしまった。実際に当社の調査員が訪問してみると、3~4名いた内勤社員が業績不振で解雇され、社長一人だけが残っていた、といったケースもあります」。

違和感を持つことが大切

倒産といっても、なかなか身近に感じられないかもしれない。だが、同社の情報部員や調査員にとっては日常茶飯事。ベテラン社員から薫陶を受け、日々、会社の調査や信用情報の収集に取り組むことで、企業の信用度の変化や倒産を見抜く目を養っている。我々には、望むべくもない環境だが、同社の「現地現認」(必ず現地に赴いて、その場で自分の目で確認せよ)の心得は参考になる。

遠峰氏「現地現認をすることで数多くの情報を得ることができます。例えば、『規模に比べ、社用車や事務所が過度に豪華である』や『業容に比べて在庫が多すぎる』といったものがありますが、大切なのは、違和感を持てるかどうかです。

実際、マンションの一室を事務所にしている会社に、アポを取って訪問したときのこと。約束の時間より早めに行くと、その部屋は静まりかえっていたのが、時間の直前になると電話ががんがん鳴り出したのです」。

つまり、「ビジネスの盛況感」を演出するため電話を鳴らす仕込みを行っていたのだそう。

「違和感を持てれば、事業をしているように装いながら取り込み詐欺を行うような会社ではないかと類推できます」(遠峰氏)

丸山氏「会社は生き物なので、絶えず変化しています。その変化がポジティブなものなのか、ネガティブなものなのかを判断することも欠かせません。

例えば、主要取引先の変更です。コストを削減するための変更ならポジティブな変化ですが、取引先に切られた結果ならネガティブです。一つの情報だけでは判断できないので、複数の情報から総合的に判断することが大切です。そういった意味で、多角的に情報のアンテナを張る必要があるのです」。

最近では「てるみくらぶ」のように多くの消費者を巻き込んだ倒産も増えている。被害者にならないためにも、危険な会社を見抜くノウハウを身に付けたいものだ。


取材協力


丸山昌吾(まるやま・しょうご)
93年に入社。調査部で約11年間企業の信用調査を実施。06年から情報部に転じ、数々の破綻企業の取材に従事。13年4月から現職。

遠峰英利(とおみね・ひでとし)
90年に入社後、93年に産業調査部へ異動。主に「倒産確率算出用マトリクスデータ」を担当。仙台支店、横浜支店の情報部長などを務めた後、18年から現職。全社情報部門の統括業務に従事する。

大塚立誌

最終更新:8/21(水) 11:06
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