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若者の政治離れの理由は「わがままを言わない」から? 社会学者たちの“わがまま”入門

8/21(水) 20:05配信

ねとらぼ

 「わがまま言っちゃいけません!」このセリフを親に言われて育ったという人、多いのではないでしょうか。浮きそう、ひとりだけズルい、自己中……何かと悪いイメージの強い「わがまま」。その価値観をさっそうと塗り替えてくれる1冊が、社会学者である富永京子さんの新著『みんなの「わがまま」入門』です。

【画像】富永京子さんと宇野重規さん

 どうして社会運動は近寄りがたいのか、なぜ私たちは意見を言うことに抵抗感をもってしまうのかを、“遠い”社会運動ではなくて、「オフィスの冷房が寒すぎるから、温度を上げてほしい」 「売店のパンの種類を増やしてほしい」といった日常の「わがまま」の例から考えています。

 本書の発売を記念して、著者の富永さんと、『民主主義のつくり方』『未来をはじめる』などの著者で政治学者の宇野重規さんのトークイベント「『わがまま』時代の民主主義」が8月7日に下北沢B&Bで開催されました。意見を主張するのは恥ずかしい、選挙の度に気が重くなる……そんなモヤモヤに効くトークが繰り広げられました。

政治=「えらい大人が決める、自分より困ってる人のためのもの」?

 『みんなの「わがまま」入門』と宇野さんの『未来をはじめる』には、中高生向けの講義内容を書籍化した、という共通点があります。大学教授としても多くの学生と触れ合う2人は、日々「声を上げてもらう」むずかしさに直面しているそうです。

 宇野「男子は発言をしてくれるけれど、実は自分の知識をひけらかしたいだけということも多いんです。授業で触れていないことばかり質問したり、知識合戦になってしまう」

 富永「男子学生は賢いことに屈託がないですからね」

 宇野「一方、女子学生は空気を読んでオズオズしてしまいがちで。次第に家での自分の扱われ方などの悩みを話してくれるようになり、安心しました」

 授業の中で意見を言わない生徒が勉強をしない子かというと、決してそうではありません。

 富永「真面目な子や、社会的な事柄に関心がある子ほど『すべてを把握していない怖さ』『間違いを言ってしまう恥ずかしさ』から声を上げることをためらってしまうように思います」

 先日の参議院選挙でも10代・20代の投票率が低いと問題になりました(10代は31.3%、20代は35.6%)。これも原因は同じで、「こんな中途半端な知識しかない私が投票するのは申し訳ない」と躊躇(ちゅうちょ)してしまう人が多いというのです。また生徒からは、「政治は自分より偉い大人が決める、自分より困ってる人のためのものだ」という意見も出たそうです。

 富永「今社会が若者にするべきことは『政治に関心を持たせる』ことと考えられがちですが、まずそのために『自分のためにわがままを言っていい』と理解してもらうことが必要だと思っています」

 私も上司や親の顔色を伺って、つい気に入られそうな回答をしてしまうことがあります。でも、政治や社会についての問いに“正解や答え”は存在しないわけですから、そもそも間違ってもいいはずなんですよね……。

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最終更新:8/21(水) 20:05
ねとらぼ

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