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完全自腹の「奨学金」を作った。日本好きの中国人を増やし続けた、ある男性の話

8/21(水) 7:51配信

ハフポスト日本版

自腹の奨学金、日本ホームステイ

一時は大量に来ていた学生も、現地の日系企業が減っていくのにつれ、波を引くように少なくなっていった。それでも「顔と名前が把握できる人数じゃないと、心と心の交流ができない」とプラスに捉えた。

現在、活動に参加するのは平均して30人ほど。田中さんは、こうした学生たちを身を切っても支援しようと考えた。

そして創設したのが「小金橋学生」制度。平たく言えば、田中さんの完全ポケットマネーによる奨学金だ。

学生に日本語作文を書いてもらい、皆の前で発表をしてもらう。その内容を田中さんが審査し、日本への留学や就職を特に強く希望していると認められた複数の学生に、現金を支給する。家庭の経済事情は考慮しない。

金額は、1学期につき1000元(約1万6000円)。

中国の大学は2学期制だから1年で2000元(約3万2000円)だ。一度支給が開始されると、卒業まで毎学期奨学金を受け取れる。返済の必要はない。

極めつけは、学生に「生の日本」体験をプレゼントすることだ。

田中さんは、奨学金を受け取れる「小金橋学生」の中から毎年2人程度を日本へ招待している。横浜にある田中さんの家に計8日間ホームステイしてもらい、観光地や日本の大学などを見てまわる。

「学生たちは日本で一銭も使いませんよ、自分のお金は。生活費や交通費...夏だったらアイス食べたいとか。そういうお小遣いも、あげるからなんでも好きに使いなさいと。そしたら学生がカップラーメンを買って食べていたこともありました。『日本のカップラーメンを食べてみたかった』と言っていましたけど」と田中さんは笑う。

ホームステイはこれまで10年間に渡って続けられ、のべ20人ほどが参加した。

「参加した学生の6割以上が、そのあと日本へ留学や就職を決めてくれたんです」と成果に目を細める。

“本人は倹約家なんです”

そんな田中さんの教え子が東京にいる。兪潔麗(ゆ・けつれい)さんは大連理工大学出身。大学3年生時には小金橋学生にも選ばれ、2019年から東京暮らしを始めている。

「小金橋」に入った理由は単純明快。先輩に誘われた時に「奨学金制度」の存在を知ったからだ。

「最初は講座の内容もあまり知らなかったし、田中先生も知りませんでした。出発点は奨学金なんです」と兪さん。しかし状況はすぐに変わる。

「徐々に田中先生の人柄に惹かれていきました。先生は学生のためにたくさんお金を使っていますが、自分のことになると本当に倹約家なんですよ。タクシーには乗らず、移動は公共交通機関で節約しています」と素顔を明かす。

日本人の同僚や顧客と働く日々。今では、「報連相など、報告の大切さを学んだのが役に立ちました」と、田中さんから習った日本企業のマナーが役立っているという。

兪さんが今も忘れないのは、大学院生の時にホームステイのメンバーに選ばれ、初めて来日したことだ。印象的なのは街の清潔さ。道を走る車のタイヤがどれもピカピカだったことを今も覚えているという。

中国から持ってきたお菓子を食べたが、包装紙をどこに捨てていいか分からず「そのまま中国に持って帰っちゃいました。日本は捨てるところが少ないですね」とはにかんだ。

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最終更新:8/21(水) 7:51
ハフポスト日本版

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