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なぜ星稜の奥川は起用に迷う林監督に先発を直訴したのか?

8/21(水) 5:00配信

THE PAGE

 奥川の奥川による奥川のための甲子園なのかもしれない。
 第101回全国高校野球選手権大会は20日、準決勝2試合を行い、星稜(石川)が9対0で中京学院大中京(岐阜)を破り24年ぶり2回目の決勝進出を決めた。林和成監督は先発起用を迷ったというが、直訴した
エースの奥川恭伸投手(3年)は、87球の省エネ投球で7回を2安打無失点に抑えた。決勝の相手は明石商(兵庫)を7対1で下した履正社(大阪)。両校は奇しくも今春のセンバツの1回戦で対戦。星稜が3対0で勝利して奥川が3安打17奪三振で完封している。奥川が続けて抑え込むのか、それとも履正社のリベンジか。準決勝を87球で終えた奥川が22日の決勝戦までにどれだけ回復するかがカギになるだろう。

87球の省エネ投球に見えた進化

 奥川の先発が決まったのはギリギリだった。
 林和成監督は、最後の最後まで悩んでいたという。死闘となった17日の智弁和歌山戦では延長14回を1人で投げ抜き23奪三振を奪ったが165球を投げた。18日の仙台育英との準々決勝では、17点の大量援護と2年生、荻原吟哉投手の踏ん張りがあって、奥川の温存に成功して、しかも休養日がプラス1日あった。だが、星稜の林監督は疲労を考慮し、当初、奥川のリリーフでの起用も考えていた。
 前日の練習後、昼食を終えたチーム宿舎で林監督は奥川を呼んだが、そこでエースは先発を直訴した。

「非常に迷いましたが、本人が”行きたい”と言うので”お前で行くぞ”と託しました」

 奥川は、準決勝の試合前取材で、「この前はみんなに助けられたので今度は自分ががんばりたい。休ませてもらい、中2日となるので、その分がんばりたい」と先発直訴の理由を明らかにした。
「もちろん、何試合も戦ってきているので、初戦並みに元気かというとそうでもないですが、相手も同じ条件で戦っています」と、笑顔で準決勝のマウンドに上がった。

 奥川は一人で投げ切ることを意識していた。決勝を考えていた。
「打たせて取ろうと考えて、その通りの投球ができた」
 受けた山瀬慎之助捕手は、「奥川とは、真っすぐの球速は140キロぐらいでいい、と話していた」と明かす。

 ストレートは6割程度に抑えて立ち上がりからスピードをセーブした。1回二死一塁からU-18代表に選ばれたプロ注目の捕手である4番の藤田健斗には、全球スライダーで勝負して三振に打ち取った。 

 フォーク、スライダー、チェンジアップという変化球を駆使しながら省エネ投球に徹した。その力まぬピッチングがプラスに転じてプロのスカウトが「唯一の課題」としていた変化球にキレと制球力が加わっていた。それでも本来の能力を抑えきれなかったのか、打者6人目にして150キロをマーク。藤田と、ふた回り目の対戦となった4回から徐々にギアを上げていき、ここでは152キロを計測。5回には、153キロをマークし、6回は三者連続三振に取った。

 1回に先頭の高畠和希にセンター前ヒットを打たれたが、7回二死から藤田に2本目のヒット許すまで、20人連続でアウト。”逆転の中京”として7回の攻撃を得意にしてきた粘り強い打線を寄せ付けなかった。
 二塁を踏ませることもなく、無四球の10奪三振という圧巻のピッチングに、中京学院大中京の選手は、試合後、「打てない」「当たらない」と嘆いた。
 随所で3球勝負も目立ち、林監督が「彼は球数を抑えられるピッチャー。ストライクゾーンでしっかり勝負するピッチングをしてくれた」と振り返るほどの内容で、わずか87球。

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最終更新:8/21(水) 5:11
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