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「東京五輪が終わった後、不動産価格は一気に下がる」説は本当か? 郊外エリアのマンションが狙い目の理由

2019/8/21(水) 10:40配信

みんなの2020

五輪開催後も景気がさがらない理由は「インフラ整備」

 では、なぜ五輪を開いた国は開催後も景気が下がらないのだろう。
 理由として大きいのは、五輪に向けてインフラ整備が行われるからだ。分かりやすい例は前回の東京五輪(1964年)である。

 1964年の東京五輪では、開催にあわせて複数のインフラ整備が行われた。まず、東海道新幹線が開通し、東名高速道路が完成した。さらに羽田空港と都心を結ぶモノレールや首都高速道路が設けられ、地下鉄は、都営地下鉄線と日比谷線、それに丸ノ内線の荻窪線が開通した。

巨大なインフラ整備がその後の経済活動を支えるため、五輪後も経済成長が続いた。たとえば、東海道新幹線ができるまで東京・大阪間は7時間近くかかり、出張は一泊が当たり前だった。ところが、東海道新幹線は東京・新大阪を4時間(開通当時)でつないだため、日帰り出張がしやすくなった。

より改善されたのは物流だ。高速道路ができるまで、トラックによる物流は一般道を信号で止まりながら行われた。平均すると夜中でも時速15~20km程度だったろう。それがノンストップの高速道路で運ぶことができるようになり、物流の配達スピードは飛躍的に向上した。五輪後もこうしたインフラ整備が経済を支えたから、景気も不動産価格も上がったわけだ。

ロンドンと東京は似ている。好景気だったロンドン五輪後

 夏季五輪を契機としたインフラ整備で大きく経済成長した国は、前回五輪(1964年)を開いた当時の日本と、中国、韓国。いわば、高度成長期にオリンピックが開催された国だ。それに対し現在の日本には、高度成長期など望めない。せいぜい安定成長がいいところだろう。

 だから、前回の東京や88年の韓国、中国の例を今回の2020年東京五輪に当てはめることはできないだろう。そこで参考にしたいのは、前々回の五輪開催国・イギリス。日本と同様、安定成長期にオリンピックが開催された国だ。

 イギリスのロンドン周辺では、五輪閉会後に不動産価格は下がっていない。それどころか、五輪閉会後も上昇を続けた。その理由として挙げられているのが、五輪の前に市街地を再開発したこと。スラム化した倉庫街を再開発し、テムズ川に大きな観覧車をつくって魅力的な場所にするなど街づくりに力を入れた。その結果、ロンドンの魅力が増し、土地の価格が上がり続けたと分析されているのだ。

現在の東京は、ロンドンに近い要素がある。副都心計画や市街地再生事業などの再開発、新しい交通網のBRT(バス高速輸送システム)の導入や新しい道路網の建設も盛んだ。加えて、今の日本ではインフラ整備も進んでいる。大きいのはリニア中央新幹線。東京~名古屋を約40分でつなぐことの効果は計り知れない。もうひとつ、東名高速道路1本では足りない状況から、新東名高速道路の建設が着々と進行。首都高速道路都心環状線は老朽化したということで、つくり直して交通量を増加させる計画もある。

 このような大がかりなインフラ整備は、2020年東京五輪に間に合わせようと建設が進んでいるわけではない。リニア中央新幹線の開業は27年目標で、新東名の全線開通は20年目標。首都高速都心環状線のつくりかえは東京五輪終了後の着工だ。

 いずれにせよ、東京という街、日本という国にとってはポジティブな要素である。ロンドンで五輪閉会後も不動産価格が上昇したのは、街にポジティブ要素があったからだ。同じような状況にあるにもかかわらず、東京五輪後に景気と不動産価格はずどんと落ちるのだろうか。

 もちろん、東京五輪の後、日本にどのような状況が生まれるか、は未知数。ここまで書いてきた五輪後の話は、予測の域を出ない。しかし、「東京五輪の後、不動産の価格が一気に下がる」と盲信するのはいかがなものか。

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最終更新:3/17(火) 14:19
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