ここから本文です

「東京五輪が終わった後、不動産価格は一気に下がる」説は本当か? 郊外エリアのマンションが狙い目の理由

2019/8/21(水) 10:40配信

みんなの2020

今、注目なのは「世田谷区」「郊外エリア」

 では、2020年東京五輪の後、東京の不動産価格はどうなるのだろうか。場所によっていろいろな動きをすると予測されるが、私の読みは次の通りだ。

都心部では価格が高くなり、そのまま高止まりする可能性が高い。理由は、山手線の内側で土地を持っている人は手離さなくなっているからだ。土地は高い価格で売れるだろうが、得た利益の多くは税金で持っていかれてしまう。だから商業ビルやオフィスビル、賃貸マンションとして活用し、その賃料で安定した生活をおくる......そのほうがはるかに得だと考えられている。

 たまに売りに出される土地はホテルやオフィスビル用に高い価格で買い取られる。だから、まれに商品化されるマンションは、山手線内側の新築分譲3LDKが3億円以上といった高水準になってしまう。もちろん、それだけ高くなると売れ行きは落ちる。しかし不動産会社が値下げしないのは、それを売ったら次に売る物がないからだ。じっくり構え、場合によっては、売っている途中で価格を上げることもある。すでに、都心部はそのような状況だ。山手線内側は「特殊な場所」になっており、その状況は東京五輪後も続くだろう。

 そうなると、山手線の外周部、つまり山手線外側の23区内に注目する人が増える。北区や江戸川区、江東区などは、山手線内側エリアと比べれば大幅に安いものの、2年ほど前から価格が上昇している。五輪終了後もこの価格上昇は続く可能性がある。

 なかでも準都心部で私が注目しているのは、世田谷区だ。ここ数年、人気と価格水準が下がっていたが、今年に入ってから価格の手ごろさが再評価され、今後は人気も価格も上がる可能性がある。

 東京都下や神奈川、埼玉、千葉の郊外エリアでも価格上昇が続くだろう。それは、都心から準都心と広がってきた値上がりの輪が郊外に伝わってくる動きである。

 郊外エリアでは、ある程度まで不動産価格が上がったのち、緩やかに下がってゆくだろう。これまで、不動産価格は上昇と下降を繰り返してきた。都心部では、土地の売り物が減るという特殊状況があるため、「高止まり」が予想されるが、郊外エリアでは、「上昇と下降」のサイクルは生き続けると考えるべきだろう。だから、郊外エリアでは、価格上昇が起きた後、いずれは下がってゆく。ただし、都心が高止まりする影響で、下降は緩やかになるのではないか。それが、「ある程度まで不動産価格が上がったのち、緩やかに下がってゆく」と推測される理由だ。
ただ、現在の水準よりさらに下がるとは考えにくい。というのも、郊外で駅から歩いて10分以上の新築マンション3LDKは、現在3000万円台、4000万円台で分譲されている。これは、30年前と同水準なので、これより下がるとは考えにくい。たとえば、今4000万円のマンションが東京五輪後に4800万円くらいまで上がり、その後時間をかけて4000万円くらいに戻るわけだ。このように上がって下がるまで5年から10年くらいかかると予想される。

 10年後、今と同じ4000万円で購入するのなら、今4000万円で購入して損はない。10年間賃貸暮らしをするのなら、なおさら今4000万円で買ったほうが得だ。今は、マンションの買い時ではない、と考える人が多いのだが、じつは買い得物件はある。特に、郊外エリアでは狙い目のマンションが多い。それが、長年の不動産業界への取材を通じた私の実感だ。

(文・櫻井幸雄)

※この記事は「みんなの2020」で2019年8月に制作・掲載されたものです(取材:2019年8月)

3/3ページ

最終更新:3/17(火) 14:19
みんなの2020

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事