ここから本文です

「お金のために、というのは僕の生き方じゃない」北海道の山奥に移住、費用ゼロで公権力に挑む”山小屋弁護士”

8/21(水) 10:01配信

AbemaTIMES

 大都会の生活を捨て、人里離れた北海道トマムに建てた山小屋で暮らす夫婦がいる。札幌の一等地にある事務所を閉めてやってきた、市川守弘弁護士と、妻の利美さんだ。

【動画】山小屋弁護士~65歳 “自分の生き方“を貫く男~

 市川が弁護するのは、誰も手をさしのべない難事件ばかり。しかも、ほとんどが手弁当、弁護士費用なしで担当する。「極力経費は落としちゃって。食っていければいいんだから。その代わり、意味のある公益的な事件は率先して弁護士費用なしで取り組めたら、僕の残りの人生、生きがいがあるんじゃないかなあと」。

 一人だけいた事務員も辞めたため、利美さんが事務や経理を担当する。「ここ3年ぐらいは赤字ですよね。零細企業の工場の奥さんじゃないけど(笑)、次の支払いはこっちの方が優先するから、まずこれを払って、次はこれがギリギリだから、これがこうなったら、こう払おうとか。そんなことしょっちゅうやっていましたね」。

 反骨の弁護士に立ちはだかる厳しい現実と闘いの日々を追った。

■大谷昭宏氏「彼を見ると、おのずと答えが出るように思う」

 市川の依頼者には、警察などの公権力と闘う市民が多い。依頼者の一人は「行政相手に、そこまで本気で闘う弁護士の先生は少ないと思います」と話す。

 その名が全国に轟いたのは、15年前に起きた北海道警の「裏金問題」だ。組織を告発した元道警ナンバー3の原田宏二さんは、代理人として支えた市川を信頼するきっかけは出会った時の会話だったと明かす。「弁護士さんのことを“先生“と言うでしょ。市川さんと最初に会ったとき、私も“先生“と言ったんですよ。そうしたら、“原田さん申し訳ないけど、先生とは言わないでくれ“と。はっと思ったんですよね。権威というか偉い人というか、そういうことについての考えがちょっと違うと。この人、大丈夫だなと」。

 警察の裏金問題を取材したジャーナリストの大谷昭宏さんも、自分が抱えた訴訟を市川に頼んだ。「誰でもそうですけど、俺は一体なんのためにこういう仕事をしているんだろうか、なぜこの仕事を続けているんだろうか、もういいや、辞めちゃおうか、そう思う時、今までお付き合いした人の中で最初に思い出すのが市川さんなんですね。彼を見ていると、なんのためにこの仕事に就いたのか、なんのためにこの仕事をしているのか、自ずと答えが出るように思うんです」。

 去年12月、引っ越し作業に追われる市川の弁護士事務所で、その弁護方針が見て取れる預金通帳の束が出てきた。市川は笑う。「これみんなサラ金。うちで家計簿を管理して、月々払える額を出してもらって、それを全業者に割り振るわけ。そしたら“そんな少ない額と“文句言うところがあるんだよ。ケンカするのさ、切った張ったをやるわけさ。その代わり、こっちはだいたい5年かけて絶対払う、そのために毎月、家計簿とそれから約束した、生活の余力の額を入れてもらう。その通帳の管理をする。だから5年間ずっと、その人の事件をやるわけさ。それでこれだけ通帳がある。今の人(弁護士)は、そんなことやんないでしょ」。

1/5ページ

最終更新:8/21(水) 10:01
AbemaTIMES

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事