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スーパーGT:WAKO’Sの2連勝支えたレース勘と大嶋和也のセッティング能力

8/21(水) 13:27配信

オートスポーツweb

 まさか、燃料流量リストリクターを2ランクも絞られていることに加え、ウエイトハンデを36kgも積んでいる6号車WAKO’S 4CR LC500が、前戦タイに続いて第5戦富士500マイルでも連勝を飾るとはいったい誰が想像しただろうか。しかも、シリーズ中、もっとも燃料リストリクターの影響を受けるコースでのことだ。

 この第5戦で燃料リストリクターを絞られていたのは、WAKO’S LC500のほかに37号車KeePer TOM’S LC500(2ランク+34kg)と38号車ZENT CERUMO LC500(1ランク+44kg)の計3台。

 純粋なスピードだけで言えば、このなかでは38号車が週末を通して速さを見せていたが、レース70周目に右フロントのホイールナット脱落によって戦線離脱。37号車は最終的に4位に入ったものの速さ自体は“ハンデなり”だった。

 それに対して、6号車はもっとも厳しいハンデを受けながら勝利した。その勝因のひとつに挙げられるのは106周目に行なった3度目のルーティンピット。一部ドライバーのSNSなどでは「スーパーGTで禁止されているセーフティカー(SC)中のピットインだったのではないか」という疑念の声も上がっているがそれは違う。

 また、6号車の優勝はたしかに運を味方につけたかたちではあるが、じつはそれだけが勝因ではない。そもそもあのピットインの“絶妙なタイミング”にも裏付けはあった。

「(70周目に)38号車が100Rでクラッシュした際、SCが入るまでにタイムラグがあったんです。あのときに『今日はSC(セーフティカー)導入までに比較的時間がかかる“流れ”なんだな』ということを(脇阪)寿一監督と話していて『次、似たようなシチュエーションになったら、SCが出る前にすぐにピットへ入れよう』と話していたんです。そうしたら24号車(リアライズコーポレーション ADVAN GT-R)があの位置(ピット入口付近)で止まった。ストレートで(17番ポストで)イエローフラッグが振られていたため、追い抜きもできずに本来のペースで走れない可能性があったから、24号車から火の手が上がる前にピットへ入れることを決めていたんです」(阿部和也エンジニア)

 結果論といえばそれまでだが、ただ偶然に6号車のもとに勝機が転がり込んできたわけではなかった。レース勘を駆使して“流れ”を読み、さらに自分たちの持てるパフォーマンスを極力出し切ろうという姿勢によって、決断されたピットタイミングだった。

 何よりSCが出る直前の段階で、もっとも厳しいハンデを受けていた6号車が、トップのMOTUL AUTECH GT-Rと約4秒差の2番手につけていた事実を見逃してはならない。

「今回は5月の富士よりも気温が高く空気密度も低いので、本来であればダウンフォースを稼ぐためにリヤウイングは立たせたい。ただ、僕らのクルマは燃リス(燃料流量リストリクター)を絞られているから、そんなことをしたら勝負権を失ってしまう。レーキ(車両の前傾姿勢)だって、つければある程度走るようになるけど、ドラッグが増えてしまうので安易にそれもできない。そうしたなかで、走れるクルマを作れたのは大嶋(和也)のフィードバックでした」

 通常であればレース開始前のウォームアップ走行ではスタートを担当するドライバーが20分間の枠を使って最終確認を行なうのが定石。

 ところが、この日の6号車は山下をわずかに走らせると、すぐに大嶋に代わった。タイでの勝利をつかみとったときと同様に、大嶋のセッティング能力を最大限に活かした戦い方だ。

「決勝前日の夜に工場に帰って新たなバンプラバーを作ってきたことも、スタート直前のグリッドでダンバー交換に踏み切れたのも大嶋の的確なコメントがあったからこそ。ストレートスピードをある程度確保したうえで、そこそこ曲がって、なおかつリヤタイヤをいたわるセットにたどり着けたのはアイツのおかげなんです」と阿部エンジニアは熱弁する。

 限られた時間のなかで大嶋と阿部エンジニアが的確にクルマを仕上げ、山下がそのパフォーマンスを発揮する──タイで結実したチームルマンの必勝パターンが富士の長距離レースでも再び機能した。

 今回の値千金の一勝によって、WAKO’S LC500はランキング2位以下を16点以上も引き離したが、実際はそのポイント差以上の力強さを感じる。まだ2019年シーズンも3戦を残すが、早くも王座を射程圏内にとらえはじめた。



[オートスポーツweb ]

最終更新:8/21(水) 13:27
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