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ブロックチェーンには企業利用に必要な機能が欠けている

8/22(木) 9:00配信

TechTargetジャパン

 ブロックチェーンの利用計画がある、またはその途上にあるCIO(最高情報責任者)は全体の11%にすぎない。これは調査会社Gartnerが示した見解だ。同社によると、プロジェクトの大半は初期試験の段階を乗り越えることができないでいるという。

 Gartnerでシニアリサーチディレクターを務めるアドリアン・レオ氏は次のように話す。「ブロックチェーンのプラットフォームと技術の市場はまだ黎明(れいめい)期だ。製品コンセプト、機能セット、アプリケーションの主要要件など、重要なコンポーネントについて業界のコンセンサスが取れていない。当社は、今後5年以内に単独で優位を占めるプラットフォームは登場しないと想定している」

 Gartnerの調査で、ブロックチェーンがビジネスアプリケーションかどうかについて、ITリーダーの間に混乱があることが判明している。ブロックチェーンは完全なアプリケーションとは言えない。そうなるには、ユーザーインタフェース、ビジネスロジック、データ永続化、相互運用メカニズムなどの機能が必要だ。

 「ブロックチェーンについて、基礎レベルの技術は完全なアプリケーションとそれほど懸け離れていないという暗黙の前提があるが、それは間違いだ」とレオ氏は述べる。

 「ブロックチェーンは、完全なアプリケーション内で特定のタスクを実行するプロトコルと捉えるのが分かりやすい。プロトコルがeコマースシステム全体やソーシャルネットワークの唯一の基盤になり得るとは誰も考えないだろう」

 ITリーダーが抱えるもう一つの課題は、現状のブロックチェーンにはレコードを削除する機能がないことだ。完全なデータ管理には削除機能が必要になる。「CIOは、自社のブロックチェーンプロジェクトにおけるデータ管理要件を評価する必要がある。従来のデータ管理ソリューションをそのまま利用する方がふさわしい場合もある」と同氏は話す。

 Gartnerによると、CIOはブロックチェーンの限界を完全には理解していないという。例えば、多くのCIOはスマートコントラクトの利用は解決済みの問題だと思い込んでいると同社は指摘する。

 スマートコントラクトは、ブロックチェーンを表す最も強力な側面と見なされている。だが、スマートコントラクトにはスケーラビリティと管理に課題があるとGartnerは警告する。

 スマートコントラクトは、概念的にはストアドプロシージャに似ていると考えられる。ストアドプロシージャは、リレーショナルデータベースの特定のトランザクションレコードに関連付けられる。

 ただし、集中管理型データベースシステムのストアドプロシージャとは異なり、スマートコントラクトはピアツーピアネットワークの全ノードで実行される。Gartnerによると、これがスケーラビリティと管理の容易性に課題をもたらすという。この課題はまだ完全には対処されていない。

 スマートコントラクトには今後も大きな変化があるだろう。CIOは完全導入を計画するのではなく、まず小規模な試験利用を実施する必要がある。Gartnerは、この分野でのブロックチェーンは今後2~3年にわたって成熟を続けると予想している。

TechTargetジャパン

最終更新:8/22(木) 9:00
TechTargetジャパン

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