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平均年収2000万超も、M&Aを手掛ける4社のビジネスと給与・役員報酬を徹底分析! 

8/22(木) 12:00配信

MONEYzine

■M&Aを手掛ける高給企業たち

 総合商社や大手テレビ局を上回る“高給”企業群が存在する。日本M&Aセンター(2127)、M&Aキャピタルパートナーズ(6080)、ストライク(6196)、GCA(2174)の4社だ。いずれも、企業の売却や買収、合併をサポートするM&A仲介・アドバイザリー関連企業である。各社の業務内容や収支構造を見ていく前に、まずは従業員と社内取締役の年収を確認しておこう。

 1991年設立と4社のなかでは最古参であり、売上規模も最も大きい日本M&Aセンターの従業員平均年間給与は、1300万円台から1400万円台での推移である。

 大手ハウスメーカーのやり手営業マンが2005年に設立したのがM&Aキャピタルパートナーズだ。2013年の上場を機に従業員の平均給与を開示するようになったが、その金額に驚かされたものだ。

 2014年9月期の1947万円に続き、2015年9月期は2253万円と2000万円を突破。その後も表にあるように極めて高額。2017年9月期は3000万円に迫った。確認のためにいえば、従業員の平均給与であり、社内取締役の平均年俸ではない。

 2016年に上場と4社では最も遅れて株式市場に登場したストライクは、1500万円台から1700万円台での推移だ。

 GCAのビジネス舞台は世界である。国内のM&A仲介、それも中堅・中小企業を対象とすることが多い前述の3社と異なり、大型かつ国際的案件のM&Aアドバイザリーを主力業務とする。

 GCAそのものも米国と欧州企業と経営統合したことで今日がある。インドや中国、台湾、ベトナムなど、海外の拠点も拡大中だ。そのGCAの従業員の給与は、低くても1500万円台、高ければ2000万円を超す。

■取締役の年棒、驚きの平均年数

 各社、社内取締役の平均年俸についても確認しておこう。上に示した各社の金額は、支給総額と年度末の在籍人数から導き出したものだ。

 年俸が1億円以上の経営陣がいる場合は、従業員の給与水準を上回ることはいうまでもない。特にGCAの場合は、年俸1億円以上の経営陣の平均額を計算しているため高額になっている。海外のグループ会社の経営陣などを中心に毎期4人から6人が年俸1億円以上で、なかには年俸8億円を超す社内取締役もいた。

 一方、M&Aキャピタルパートナーズの2017年9月期と2018年9月期は、社内取締役の平均年俸が従業員の平均給与を下回った。創業オーナーは発行済自社株の45%程度を所有しているが、財務体質の強化を先行しているため無配を継続中である。

 ストライクの場合も、社内取締役の平均年俸と従業員の平均給与の格差は大きくはないといっていいだろう。

 高水準の従業員給与もそうだが、従業員の平均勤続年数にビックリさせられるはずだ。4社全体で見ても長くて6年、短ければ3年を切る。平均年齢も4社とも30歳代であり、M&Aキャピタルパートナーズの場合は30歳そこそこだ。

 高い給与水準や短い平均勤続年数は、業務内容と無関係ではない。M&A仲介・アドバイザリー業務は事実上、参入障壁がないといっていいだろう。極端にいえば、誰でもどの企業でも参入が可能である。

 企業を譲渡してもいいという相談の受付からはじまり、実際の売却案件の獲得、企業の資産価値を正しく評価するデューデリジェンスの実施、M&Aのメリットの説明・提案、成約への導き方などすべての業務が“ヒト勝負”である。優秀な人材獲得がM&A仲介・アドバイザリー企業の生命線であるため、給与水準が高くなるという流れだ。

■M&A仲介ビジネスの収益構造

 続いては、日本M&Aセンターを例にとって、M&A仲介ビジネスを見ていくことにしよう。

 同社は公認会計士や税理士が中心となって出発。現在でも会計事務所からの案件紹介が多いようだ。信用金庫など金融機関、地方自治体とも提携し、M&A支援や事業承継を推進するビジネスを展開している。

 同社の成約件数は2017年3月期524件、2018年3月期649件、2019年3月期770件である。M&A仲介事業の売上高を成約件数で除すると、成約1件当たりの収入は「3587万円→3747万円→3631万円」という推移である。

 グループ全体従業員の8割前後を占めるM&A担当者(コンサルタント)1人平均でいえば、年間に会社にもたらす収入は「8506万円→8941万円→8225万円」だ

 収支も見ておこう。3期における営業利益率は「47%→47%→44%」という流れである。売上高の4割以上5割未満が儲けということである。販売費及び一般管理費、いわゆる経費は16%程度。原価は「37%→37%→40%」である。

 じつは、年収が1000万円を軽く突破している人材の人件費は、原価に計上していると見ていいようだ。日本M&Aセンターの原価には「紹介料・外注費」「人件費・旅費交通費」が含まれている。

 会計事務所や金融機関など、売却を希望している企業などの紹介者に対して紹介料を支払っているのだろう。「紹介料・外注費」は連結売上高の14%前後に相当している。

 M&A担当者などの人件費・交通費に相当していると推定できる「人件費・旅費交通費」は連結売上高の22%~24%である。2019年3月期でいえば、売上高284億円に対して、人件費・旅費交通費は68億円。売上高の24%に相当する金額だ。

 M&Aキャピタルパートナーズも営業利益率は40%前後での推移だ。同社はM&A合意契約締結までは費用負担が発生しないという手数料体系が武器である。業界では「取引金額5億円以下は手数料5%」「5億円超~10億円以下の部分は4%」といった、レーマン方式という手数料体系を採用しているが、同社は独自の手数料体系を構築し顧客へアピール。調剤薬局のM&A案件を得意としている。

 ストライクの場合も営業利益率は30%台で推移。公認会計士や税理士が経営の主体を担っており、譲渡や買収情報などを掲載するネットマッチングサイト「M&A市場【smart】」の運営に定評がある。

 欧米など海外売上高が国内を上回っている独立系M&AアドバイザリーファームであるGCAの場合は、ミドルリスク・ミドルリターンを狙ったメザニンファンド運用など独自路線を歩んでおり、営業利益率は日本M&Aセンターなどと比べると低く、10%台にとどまる。

 ただし、売上高に占める人件費の比率が突出。同社は国際会計基準を適用しており、売上高266億円に対し原価に含む人件費177億円を含め、全体では188億円だったと開示している。売上高の70%に相当する(いずれも2018年12月期)。

 活動による収入(売上高)のほとんどが人材への対価だ。従業員平均給与が2000万円を突破し、年俸1億円以上の経営陣を複数輩出しているのも、ある意味では、自然の流れといっていいだろう。

最終更新:8/22(木) 12:00
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