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聖光学院・斎藤監督が語る 戦後最長13年連続夏出場の秘密

8/22(木) 12:00配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 戦後最長13年連続(2007年~2019年)で夏の甲子園への出場を果たした聖光学院(福島)。どのような指導を行っているのか。斎藤智也監督に話を聞いた。

  ◇  ◇  ◇

 勝ち続けるという十字架は重たいです。でもそれ以上に、子どもたちにしつこく教育をし続けることの方がキツい。指導者がそれをやらなくなったら、チームには勝ち負けしか残らなくなります。

 今春、11年ぶりに東北大会出場を逃して2週間、全体練習をなくしてミーティングだけに費やしました。今年は谷間の世代になるんじゃないかとも考えた。決して力がある世代ではなかったのに、勘違いして、自信過剰になっていた。生徒には「勝つとか、甲子園に行くなんて考えは一回捨てろ」と言いました。

 キレイごとを言ってると思われるかもしれません。でも、勝ち負けは結果でしかない。大事なのはプロセスです。

 それに気づかされたのは13連覇が始まる前年の2006年。選手の能力が高いことにかまけて何度かミーティングをサボってしまった。夏の福島大会直前の6月。こちらの言うことが選手たちに伝わらない。あの手この手を尽くしたけど、勝てませんでした。

 僕はチームに「THE(ザ)」をつくり上げることに力を注ぎます。「ザ」とは聖光学院野球部の根幹をなし、選手たちの原点になるもの。いい選手ばかりいても、勝てないチームはある。大事なのは心技体の「心」。能力があっても発揮できない子はたくさんいます。

 野球は失敗のスポーツです。打者は3割打てば成功。うまくいかないことにチャレンジするのだから、自ら行動を起こさないとうまくはいきません。人間は、常に負けることへの恐れや、おじけづき、焦りといった感情と闘わないといけない。我慢強さ、チャンスで自滅しないメンタルを身につけるには指導者が口を酸っぱくして言い続けなければなりません。

 投手には「何でこの場面で大胆に投げられなかったの?」。野手には「何でアウトだと決めつけるようなプレーをするの?」と。不安や焦りはゼロにはならないが、限りなくゼロに近づけることはできる。分からない子には分かるまで言い続ける。普段の練習は16時から21時半。その間、ずっと口から泡吹きながら、しゃべってます(笑い)。ウザイとかクドイとか思われるかもしれないけど、子どもたちにぶつかり、成長を確認し続ける。1年360日、毎年がこのサイクル。あと何年やれるのって思います(苦笑い)。

 そうすることで生徒の先々の人生にもプラスになるはずです。野球をやめてからの方が長い。社会に出てそういうことを教えられる機会ってないでしょう。

 夏の大会は3年間の集大成。僕はまず「グラウンドに自分の絵を描け」と言う。勝つことは一筋縄ではいかないですが、俺たちはこういうチームだとみんなが納得する基準があり、3年間やってきたことを表現するぞと、プライドを持ってやってくれたらいい。やり切れたら、勝ち負けだけにとらわれなくなってくる。これがウチのゴール。毎年「ザ」を築こうと粘り強くやり続けた結果が13連覇につながったと思います。

最終更新:8/22(木) 12:00
日刊ゲンダイDIGITAL

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