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【夏の甲子園】“カモ”にリベンジされた星稜・奥川「失投です。悔しい」

8/22(木) 23:41配信

東スポWeb

 第101回全国高校野球選手権大会決勝(甲子園)は22日、履正社(大阪)が星稜(石川)を5―3で下して春夏通じて初の優勝を飾った。聖地の女神は、希代の右腕にほほ笑まなかった。今大会防御率0・00で決勝まで勝ち上がってきた星稜のエース・奥川恭伸投手(3年)は、相手4番・井上に3ランを被弾するなど9回11安打5失点。初優勝を逃し、悔し涙を流した今大会最注目右腕は「もっともっと大きくなった姿で戻ってきたい」と次なるステージでの飛躍を誓った。

 乾いた打球音が左中間席に飛び込むと、奥川は苦笑い。味方打線が1点を先制した直後の3回二死一、二塁。履正社の4番・井上に投じた初球スライダーが高めに浮いた。「失投です。悔しい」。そう振り返った痛恨の一球だった。「テークバックの時に(軸足の右)足に(右手が)引っかかった。自分の中で力みがあったのかなと思う。悔しいミス」。今春選抜大会の1回戦、6月の練習試合と通算6打数無安打2三振に封じていた相手主砲。この日の第1打席も見逃し三振に仕留めていただけに、流れを一変させる強烈な一打だった。

 相手に主導権を握られ重たい空気が終盤まで星稜ベンチ、三塁側アルプス席を包んだが、北陸勢初の夏制覇を目指すチームは7回に意地を見せる。小学校時代から奥川の女房役を務める山瀬が反撃の適時打を放つと、千田にも同点適時打が生まれ、試合を振り出しに戻す。近年の甲子園特有の“判官びいき”も手伝って、流れは星稜に傾いた。なおも、二死満塁。一気に試合を決める絶好機に恵まれたが、5番・大高は力ない二飛に倒れた。

 チャンスとピンチが隣り合わせのように、一進一退の攻防は8回に動く。またしても、援護を受けた直後に奥川が捕まった。履正社の先頭・内倉が粘った末の9球目を右越え二塁打。きっちり犠打で進められると、野口に決勝打を許した。さらに1点を追加され、終盤に重い2点を献上して勝負は決まった。

「なんとか、8回は0点に抑えたかったが、自分の粘り負け。相手は本当に素晴らしい打線だった」。選抜では3安打17奪三振完封に抑え込んだ相手。だが、この日は要所で痛打を許し、11安打と攻略された。試合後、奥川はこれまで“カモ”にしてきた相手にリベンジを許しながらも、素直に敗戦を受け入れたたえた。「9回まで投げさせてもらって幸せだった」と、3730校の頂点こそ逃したが、最も長い夏を堪能した右腕には満足感もにじんだ。

 集大成のゲームで喫した悔しい敗戦は、今後の成長の糧となる。「こういう打線を抑えないと日本一にはなれないと分かった。どこかでリベンジしたい」。今秋ドラフトに向けて、令和の怪物・佐々木朗希(大船渡)とともにプロの注目を浴びる逸材。今月末からは、U―18日本代表としてワールドカップに臨み、さらに国体と続く。甲子園のスターとして、しばらくは話題の中心を歩むことになる。慎重に言葉を選び「ここで一区切りついたが、まだ先があるので次につなげたい」と語った奥川。それでも、最後は「もっともっと大きくなった姿で戻ってきたい」と力強い言葉を残して聖地を去った。日本の将来を背負って立つと目される男は近い将来、「甲子園の忘れ物」を取りに聖地に帰ってくるはずだ。

最終更新:8/22(木) 23:45
東スポWeb

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