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なぜβ版でスタート? 独自プランは? IIJに聞く「eSIM」戦略

8/22(木) 15:52配信

ITmedia Mobile

 国内のネットワークを使った初のeSIMサービスが、IIJから登場した。当初はβ版という位置付けで、料金プランは月額契約が必要な「ライトスタートプラン(eSIMベータ版)」のみだが、初期費用や月額料金が安くなるキャンペーンも展開。IIJでは、大手キャリアの段階制プランとeSIMを併用することで、料金を安価に抑えられることを訴求する。

eSIMサービスの料金プラン

 スマートフォンはiPhone XS、XS Max、XRなどのメジャー端末が対応。SIMロックフリーモデルを用意するか、SIMロックを解除すれば、簡単にiPhoneをDSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)化することが可能だ。店舗に足を運んだり、SIMカードが郵送されるのを待ったりする必要なく、その場ですぐに契約できるのがeSIMの魅力。IIJのeSIMも、同社のサイトからすぐにプロファイルを発行できる。

 利便性が高く、今後の展開にも注目が集まるeSIMだが、技術的、制度的にこのサービスを提供できる会社は限定的だ。IIJも、自社で加入者管理機能を持ち、フルMVNOとなったことでこのサービスを実現できた。ただ、IIJも当初は、eSIMを法人向けサービスと捉えていたようだ。なぜ、このタイミングでコンシューマー向けサービスの提供にかじを切ったのか。また、β版で始めた理由はどこにあるのか。

 今後の展開なども含め、IIJでMVNO事業を率いるMVNO事業部長の矢吹重雄氏と、MVNO事業部コンシューマサービス部長の亀井正浩氏に話を聞いた。

電気通信事業法の改正案が見えなかったので「β版」に

―― もともとeSIMを使ったサービスは、法人向けを想定していたとうかがったことがあります。なぜ、IIJmioのサービスとして、コンシューマーに提供することにしたのでしょうか。

矢吹氏 フルMVNOを始めたとき、当初からeSIMはできると思って動いていましたが、あまりコンシューマー向けのことは考えていませんでした。デバイスやモジュールが見当たらなかったからです。(eSIMに近いものとして)ソフトSIMのような形で、何らかのデバイスメーカーと組んで事業計画を描いていました。ところが、iPhoneがXS(XS Max)でeSIMに対応し、出そうと思えば普通に出せてしまうことになりました。ここから、コンシューマー向けのサービス企画がスタートしています。

亀井氏 iOS 12.1のβ版が出たときに、開発者契約の枠内で試し、そこからスタートしています。その前段では「Surface Pro LTE」で動くことは確認していました。

―― そろそろ次のiPhoneの足音も聞こえ始めています。ここまで時間がかかった理由はどこにあるのでしょうか。

矢吹氏 ばかばかしい話かもしれませんが、コンシューマー向けを出すつもりがなかったので、それだけのライセンス料がありませんでした。そもそも、ライセンスがあっても、そのためのサーバを作らなければなりません。インフラと手続きの準備に時間がかかってしまいました。

―― SIMベンダーへの発注も必要になりますからね。

矢吹氏 ざっくりこのぐらいのビジネスにするので、このぐらいのサーバとラインセンスが必要になるというのをどう読むかは、社内でも議論がありました。当然、それがもうかるのかという議論もあり、シナリオを描いていました。

―― 技術的ではなく、ビジネス的な理由が大きかったということですね。

矢吹氏 今回、β版という名称で出しているのが、まさにそれです。IIJmioとしてeSIMをどう出すのかは、内部でかなり議論しました。せっかくの新しい技術なので、今までのIIJmioをガラッと変えるビジネスモデルが作れないか、そのために必要なサービス構成やデータベース構成をどうすべきかという議論をしてきました。結果的には、電気通信事業法の改正が見えてきましたが、ここがはっきりしない限り、何をどうすればいいのかが分かりません。そのため、IIJmioの既存サービスにあまり影響を与えない形で、まずはβ版として出すことにしました。

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最終更新:8/22(木) 15:52
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