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向井理が主演舞台を語る「『だまされた』という思いもありました(笑)」

8/22(木) 12:00配信

HOMINIS(ホミニス)

劇作・演出家の赤堀雅秋が、東京・渋谷の劇場、シアターコクーン30周年記念公演として書き下ろした舞台「美しく青く」が、9月22日(日)にTBSチャンネル2にてTV初放送される。震災から8年が経過し、今は猿害に悩まされる集落に暮らす、平凡な人々の生活を生々しく描く群像劇は、7月中旬から8月上旬にかけて東京と大阪で上演され、チケットは軒並みソールドアウトを記録。大好評のうちに幕を下ろした。

【写真を見る】 舞台「美しく青く」への思いを語ってくれた向井理

本作の主人公・保を演じるのは、以前から赤堀作品のファンで、その世界に染まることを切望していた俳優・向井理。7月某日、終演直後に舞台衣装のまま、インタビュー会場へ直行してくれた向井に、話を聞いた。

――今回の舞台のオファーをいただいた際の率直なご感想をお聞かせください。

「初めてお話しをいただいた時『ぜひやりたい』と思いました。演出の赤堀雅秋さんが手掛けた作品は、ここ数年はほとんど観ていまして、僕の好きな作品が非常に多いんです。『大変だろうな』というのは感じていましたが、大変だからおもしろいんでしょうね。役者が気持ちよくお芝居しようとするところを見事に抑圧していて、そこからこぼれてくる感情が観客に伝わってくるというのが、すごくおもしろいなと感じていました。

僕にとって、舞台は修業だと思っているので、赤堀さんとのお仕事も、覚悟してやろうと思いました。シアターコクーンでのお芝居に出演することも意味があると思っています。こちらの劇場は歴史がありますし、クオリティの高い素敵な作品をたくさん上演してきた場所ということもあって、やはり『コクーンという劇場でいつか舞台に立ちたいな』というのはずっと思っていました。赤堀さんは今まで、シアターコクーンで3回、作・演出の舞台をのお芝居を上演していらっしゃいますが、今回はどういう感じになるのかなという思いもありました」

――台本を初めてお読みになった時のご感想はいかがでしたか?

「実は、稽古の初日に台本が完成していなかったんです。赤堀さんが稽古と同時進行で執筆していったので、台本が生まれる過程を見ることができたのは、ちょっとおもしろかったなと思います。台本だけ読んでいくと、日常会話を淡々と重ねていくので、最初は正直『どうなっているのだろう?』と感じたこともありましたが、実際に稽古場で立って動いたり、赤堀さんの演出が入るともう全然違うものになるのもまたおもしろかったです。ただ、最初にいただいたプロットと全然違う物語になったので『だまされた』という思いもありました(笑)」

――実際に赤堀さんの演出を受けてみての印象はいかがでしたか?

「すごく丁寧です。いい意味で、細かいです。本当に若手の子たちにはもう手取り足取りじゃないですけど、全体の稽古がはじまる前に何人かで集合して、個別で稽古を付けたりされていましたね。赤堀さんの中では、明確に『こうした方がいい』というパートはいくつかあると思うんですけど、その他の部分に関しては割と役者に委ねてくださっていて。ただ丸投げするのではなく『今はこういうシーンで、こういうバックボーンがあって、こういう風に進行してきているから、どういう気持ちで演じますか?』という感じだったので、馴染みやすかったです。

でも、稽古場では目が血走っていましたね(笑)。台本書いて、演出してですから、すごいエネルギーが必要だと思いますし、役者に言わなければいけないところはしっかり伝えないといけないですし。赤堀さん自身は強面ですけど、すごく優しい方なので、本当だったら、役者に対しても『ここはダメ』とか『もう1回』とか言いたくないと思うんです。それを平田満さんや銀粉蝶さんのようなベテランの役者さんや、大倉孝二さんのように個人的に親しい俳優さんにも、言う時はすごい鋭さで言ったりしなければならなくて。演出家って本当に大変なんだなというのを改めて感じました」

――演じている中で意識されていることはありますか?

「赤堀さんは『こうしたらいい』とか『ここで叫ぶのがいい』とか、そういう指示は絶対言わないんです。シーンの説明だけされて、あとは任せますという感じなので、今でも迷いながら演じています。日によって、言い方も変わっているところもあると思います。ただ、舞台ということを一回忘れて、居酒屋のシーンでは、完全に『ここは居酒屋だ』と思い込んで演じるようにはしていますね。赤堀さんは『演劇的にやるな』という演劇人なので、すごく矛盾しているなと思いますけど。なので、稽古中は本当に追い詰められていましたね。家の中でも、すごい顔つきをしていたことがあったみたいです。それくらい、何が正解なのか、今も全然わからないですね。

なるべく台本通り、一言一句演じていますけど、たまたまそういう言葉になっているということを意識しています。セリフを言うというよりは、自分の順番が来たから、用意されたセリフを口にするのではなく、自然に言葉が出てくるというか。普段、自分がしゃべることってそんなに考えていないじゃないですか。言葉が出てきた時に初めて自分の考えに気づいたり、『あ、変なこと言っちゃった』とか、そういったものを舞台上でも表現するために、毎日セリフを1回、忘れる作業をしています。次に何が起こるとか、どうなるとかということをもちろん忘れることなんてできないんですけど、忘れるように意識しています」

――最後に「美しく青く」を鑑賞される皆さんへメッセージをお願いします。

「生で舞台を観るのと、テレビ画面で視聴するのとでは全然違う楽しみ方もあると思うので、ぜひ、実際に劇場に足を運んでくださった方々にも観てもらいたいですね。特に今回、僕が演じる保という役は、セリフも多くないですし、能動的にストーリーを引っぱる主人公ではないので、皆さんが見逃してしまった部分も映っていたらいいな、とも思います。

本来舞台では、どのシーンでどの部分にカメラのフォーカスを当てるかを決めるディレクターは、観客の皆さんご自身です。それがテレビで放送される際には、全く違う方のディレクションが入ることになります。その時に、どんな作品になるのかというのは、僕自身も興味がありますので、皆さんと一緒に放送を楽しみにしています」

文=中村実香 撮影=青木早霞(PROGRESS-M)

HOMINIS

最終更新:8/22(木) 12:00
HOMINIS(ホミニス)

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