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「今、現場で調査しなくてどうする?」香港デモを動画レポートした弁護士、中国で一時行方不明に【UPDATE】

8/22(木) 12:54配信

ハフポスト日本版

「2019年の夏、香港で何があったの?...いつか子供にそう聞かれた時、何も答えられないのが嫌なんだ」

北京を拠点に活動する中国人弁護士・陳秋實(ちぇん・ちようしー)さんが、香港デモの現場を「取材」し、中国本土に戻った後、連絡が取れなくなっている。香港メディアの「サウス・チャイナ・モーニングポスト」が報じた。

陳さんはなぜ、リスクを承知の上で香港を訪れ、何を伝えたのか。彼がネットにあげた動画から振り返る。

主張に関わらず対話呼びかけ

陳さんが香港を訪れたのは8月17日。

陳さんは自撮り動画をウェイボーにあげていて(現在は削除)、視聴者へ語りかけている。メディア関係者がデモ現場で身につけている黄色い蛍光ベストを身にまとい「私は大陸側の回し者でもないし、記者でもない。一般の中国人であり、弁護士だ。この目で何が起きているかを見て、現地の人の声に耳を傾けたい」などと話していた。

そして「建制派(中国政府支持)でも民主派でも構わない。ちょっと座って私と話しましょう」と呼びかけた。

その後、陳さんはデモ現場やホテルの部屋などから複数の動画を投稿。

デモ参加者の大多数が平和的・理性的・非暴力なデモを掲げる「和理非」だとし、一方で暴力的な手段を厭わない「勇武」もいるなどと説明した。

そのほかにも、蛍光ベストを韓国メディアにあげてしまい、白いTシャツを着ようとしたところ、黒Tシャツを着る人が多いデモ現場ではやめた方がいいと忠告されたことなど、現地で体験した出来事を次々と報告していた。

「私たちがやらずにどうする」

陳さんが視聴者に自身の覚悟を語ったのは、8月20日夜に撮影された動画。

香港国際空港に立つ陳さんは、予定を繰り上げて大陸側に戻る必要が出たと報告。「圧力が物凄い。公安局・司法局・弁護士協会・弁護士事務所の全てから電話がかかってきた。『これ以上政治的に敏感な場所にいてはいけない。帰らないようなら誰も君を守れなくなるぞ』と言われた」と明かした。

その上で、所属する弁護士事務所の上司などに責任が及ぶ可能性について、「私は誰にも告げず一人で来た。誰かが巻き添えを食らうのは望んでいない。私は戻って上司や同僚に説明しなければならない」と取材を切り上げる理由を説明した。

そして、香港での取材の成果について、次のように振り返った。

陳さん:
このような歴史的なタイミングには、中国本土のメディアも当然現場にいるべきだ。だが8月18日に行われたデモ現場で彼らを見つけることは困難だった。だからこそ自分で“報道”する必要がある。ただ自分自身の報道にも全く満足がいっていない。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官を直接取材させろとは言わないが、デモ参加者や警察、(参加者を襲撃した)白いTシャツたちを近い距離で取材することが出来なかった。一体、これの何が取材なのか。

そして、弁護士である自身が現場を訪れた意味について語った。

陳さん:
香港デモは1つの法律(逃亡犯条例の改正案)が通るかどうか、がきっかけだ。参加者が問題視しているのは警察の業務執行が合法的かどうかだ。立法委員(国会議員に相当)の選挙が正しく行われているかだ。(香港返還時の)中国とイギリスの共同声明が遵守されているかだ。
これはいずれも法律上の問題だ。
香港をめぐる問題の本質は政治ではなく、法律の問題なのだ。
法律に携わるものとして、世界中でも最大規模の法律に関わる衝突が起きている今、現場に来て調査しなくてどうするのか?私たちがやらなくてどうする?TikTokとかのインフルエンサーに頼むのか?

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最終更新:8/22(木) 15:53
ハフポスト日本版

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