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忘れ去られた「国家売春」の過去

8/23(金) 13:32配信

47NEWS

 74年前の夏、敗戦で多くの日本人が茫然自失しているなか、東久邇内閣が手をつけたのは、占領軍将兵に女を提供する慰安所をつくることだった。

 敗戦からわずか3日後の8月18日、内務省警保局長が現在の知事にあたる全国の府県長官宛てに「外国軍駐屯地における慰安施設について」を打電。速やかに性的慰安施設、飲食施設、娯楽場を設けるよう指令した。

 国務大臣の近衛文麿は警視総監を呼んで、「国体護持」のため慰安所設置の陣頭指揮をとるよう要請している。国体とは天皇を中心とした国家体制のこと。それと売春施設はどう関わるのか。事態の推移がそれを明らかにする。

 これを受けて警視庁は東京料理飲食業組合の組合長らを呼び出し、資金は政府が援助するから、至急、各種慰安施設をつくるよう命じた。

 都下の接客業7団体を擁する同組合は、23日には特殊慰安施設協会(のち「RAA協会」と改称=Rはレクリエーション・Aはアミューズメント・最後のAはアソシエーション)を立ち上げ、28日に皇居前広場で宣誓式を行っている。ついこないだ、天皇の終戦詔勅を聞いて集まった人びとが地べたに伏して嗚咽(おえつ)した場所である。

 協会は「新日本再建の発足と、全日本女性の純血を護るための礎石事業たることを自覚し、滅私奉公の決意を固めた」と胸を張っている。(『RAA協会沿革誌』)

 「全日本女性の純血を護る」とはどういうことか。

 昨日まで「鬼畜米英」と呼んだ軍隊がやってくる。そうなると日本民族の純血が汚れる。国民が騒ぐ。国体の護持が危うくなる。「性の防波堤」として女性たちを差し出そうというのである。

 28日は占領軍の先遣隊が上陸した日で、協会は女性をかき集めて大森海岸に第1号慰安施設「小町園」をオープンしたが、慰安婦の数が足りない。

 そこで事務所を構える銀座7丁目の「幸楽」前に看板を出した。

 「新日本女性に告ぐ 戦後処理の国家的緊急施設の一端として、駐屯軍慰安の大事業に参加する新日本女性の率先協力を求む。女事務員募集。年齢十八歳以上二十五歳迄。宿舎、被服、食糧全部当方支給」

 新聞にも「急告 特別女子従業員募集 衣食住及高給支給 前借ニモ応ズ 地方ヨリノ応募者ニハ旅費ヲ支給ス」という広告を載せた。

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最終更新:8/26(月) 14:37
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