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アバンティーズがアーティスト活動も本気でやる理由「本当の自分たちを出せる音楽をやっていきたい」

8/23(金) 17:00配信

エキサイトミュージック

2017年以降、人気YouTuberたちが続々とCDデビューを果たし音楽チャートを賑わせている。当初から音楽家を目指していた者、表現や活動の一環として音楽にも取り組んだ者など、その事由は様々だ。そしてそれらの多くは、YouTuberとしての活動を通し、ある程度確立したキャラクターとその認知の延長線上での作品リリースのようにも映る。

そんな折り、人気YouTuberのなかでもまさしく待望のCDデビューと言えるのが、UUUM所属のクリエイター・アバンティーズだ。現在YouTubeのチャンネル登録者数が160万人を超える彼らが、先日、初のEP『old color』でCDデビュー。その作品には、2019年1月に事故で急逝したメンバー・エイジへの想いも込められていた。本気で音楽と向き合う3人の思いを、前後編に渡ってお届けする。

取材・文/池田スカオ和宏 撮影/稲澤朝博
編集/日野綾(エキサイトニュース編集部)

本当の自分たちを出せる音楽をやっていきたい(そらちぃ)

――今作はかなりの予想外でした。各曲本格的なクラブサウンドであったり、あえて幅広い音楽性にはせずラップの範疇に留めていたり、ストイックでクールな統一感や、かなり言いたいこと思っていることを伝えていたりと……。まずは今作までの経緯を教えて下さい。

リクヲ:数年前から「音楽的なこともやっていきたいよね」的な話をしていたんです。「映画もやりたいし、ドラマとかも作ってみたいし…」と、やりたいことの一つとして音楽も挙げられていて、2年程ぐらい前から徐々に始めました。元々そら(そらち)がヒップポップを好きだったんで、そらを中心に作っていき、「アバみ」を出したところ好評で。それらを経て今に至ってます。

そらちぃ:ヒップホップって言葉の幅が広いじゃないですか。何を吐き出してもいい。ゆえに、自分たちのフラストレーションなども、ほかの音楽よりも吐き出しやすい。本当の自分たちを出せる音楽をやっていきたいなと。

ツリメ:みんなに考えてほしいことを盛り込んだりもして。今回はこの路線や手法で大正解だったなと思っています。

――正直、みなさんのYouTubeでの活動を見る限り、ポップでキャッチ―で、かつ背中を押す応援歌的な路線を予想していました。

そらちぃ:もちろん自分たちもそのような面は持ってるし、歌えもする。だけど逆に俺たちは俺たちにしか吐けない言葉や、俺たちだから吐ける音楽をやりたくて。となると今回の手法が最もしっくりきたんです。元々は音楽をやるにせよ、「あくまでも自分たちにしかできない表現で」と始めたので。

――失礼な話、ここまで本格的でストイックな作品とは想像もつきませんでした。

そらちぃ:基本的にこれまでのYouTuberの音楽って、身内だけで全部作っちゃうのは違うかなと思ったんです。

――いわゆる村っぽい感じ?

そらちぃ:収録曲「Black Joke」でも<自分の村から離れて闘え>とラップしていますが、「もっと枠にとらわれずに広い表現をしようよ」との意味も込め、このような形に至りました。

リクヲ:僕ら昔から配信にしても動画や映像にしても、中途半端なものは作りたくない精神があって。過去の映画もドキュメントもしっかりとしたものを作ってきたという自負があるんです。今回も、「やるからにはしっかりとしたものを」、そんな精神で挑みました。制作に一切の妥協はしていません。

そらちぃ:「YouTuberの作る音楽だからこのレベルやクオリティでもしょうがない」、そんなことを言わせたくない。そんな気概が根底にはありましたから。

視聴者との信頼関係を確信しているが故にあえて出せたところも大きい(リクヲ)

――ラップもかなり攻めてるし、辛辣な箇所もあるし、色々と考えさせられる場面も多いので、これまでのYouTube視聴者からすると、「普段のアバンティーズと違う」との感受をされる方も現れそうです。

そらちぃ:それも正直、頭をよぎりました。だけど、「今やらなくちゃ!」という想いの方が強くて。視聴者の皆さんにもそれぞれ考えてもらうことで、一緒に成長していきたかったし。俺らだけ一方的に吐き出しても仕方ないですから。自分たちの価値観や哲学みたいなものを、一度言葉にして視聴者の皆さんに届けてみたいと思ったんですね。

――それは勇気が要る行為でもありますね。

そらちぃ:でも視聴者の皆さんは、俺らの主張や伝えたかったことを聴き、しっかりと受け止め、それぞれのレスポンスをしてくれる存在だと信じていたので。

リクヲ:その信頼関係が一番大きかったかも。視聴者を信じているからこそ、新たに出せた面も大きいです。

そらちぃ:とはいえ、自分たちもそれだけではないので、対照的にあえてポップな曲や親しみやすい曲、みんなで一緒に参加できる曲等を入れています。なので、バランスも良く、バラエティにも富んでいて、かなり間口の広いEPになったかなと。リリックや主張面では視聴者に寄ってはいませんが、こと聴きやすさや作品内のバランスに関しては、これでも出来るだけポップにしたつもりです(笑)。

――その視聴者との信頼関係は頼もしいですね。

そらちぃ:俺ら8年間、動画配信をしてきましたが、ここまで基本的にやりたいことしかやってこなかったんです。自分たちのやりたいこと以外はやらない姿勢で常に来た。その「自分たちを曲げない」とのポリシー、そこには視聴者の皆さんにも、「この人たちは芯があってこれをやっている」と捉えてもらっていると信じてます。とは言え、そこに依存したくもなくて…。そのバランスと意識を強く持ちながら各曲作っていきました。

――それはみなさん共通認識だったり?

そらちぃ:ですね。俺が今回、完成させて感じたのは、「3人ともクリエイトに対する姿勢は一緒だな」といった面で。8年一緒にやってきて改めて実感できました。各々がリリックを担っても、言いたいことは3人とも共通していたし。そこに対しては何の不安もありませんでした。

ツリメ:8年も一緒にやってきているので、言葉で伝え合わなくてもなんとなく「こんな着地点にしたいのかな?」「こんなことを全体的に伝えたいのかな?」がおのずとわかるんですよね。

“アバンティーズ”というジャンルを確立させたい(ツリメ)

ーー「アバみ」のMusic Videoでは第一線で活躍するYouTuberが勢揃いしており、すごく豪華でした。

ツリメ:伝手を最大限に活用して協力してもらいました。もう対面あり初対面関係なく(笑)。各人で割り振って各位に連絡して快諾して出演してもらいました。

――なるほど。ちなみに、YouTuberの音楽を軽んじている世間意見をみなさんはどう捉えていますか?

そらちぃ:自分たち的には、音楽は音楽としてストイックにやっている自負があるので。自分たちがしっかりと自信をもって自分たちの音楽をやり続けていけば、理解してくれたり、認めてくれる方も出てくることを信じてます。そういった存在に俺らがなれればと思う反面、なっていかなくちゃならないし、変えていかなくちゃなとは強く思います。

――昔、AAAのSKI-HIさんと話をしたことを想い出しました。彼も当初はアイドル出身とのイメージが障壁となり、それをラップの実力で昇ったり崩してたりして、今や誰もが認めるラッパーとして大活躍してます。その姿とオーバーラップしました。

そらちぃ:俺、あの方をラッパーとしてすごく尊敬していて。現在各所からのリスペクトがあるのは、それこそ実力に裏付けられていて。説得力ありますよね。それを手本に自分たちも精進していきたいです。俺らも俺らならではの説得力で理解してもらったり、分かってもらえたりして戦っていきますから!

――誰かがそれを切り拓かないと、ですよね。

ツリメ:目指しているのはそこだったりもします。作品を出す行為もその意識の形でもあって。すぐには結果は出ないだろうし、時間もかかるでしょうが、そこは目指していきたいです。今やロックフェスにもアイドルが普通に登場しているじゃないですか。それってある意味、それぞれのアイドル独自のジャンルが確立したからだろうなって。すごくカッコいいですよね。

そらちぃ:きっとこれを出して以降、「アバンティーズなんてヒップホップじゃねぇ!」と揶揄されるかもしれない。だけどそんな時でも、「そうだよ。アバンティーズはアバンティーズってジャンルだもん!」と言い返せる。俺らもそこを目指していきたいです。

最終更新:9/3(火) 13:45
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