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秘伝の味 歴史に幕 小矢部・焼肉田原 住民に愛され半世紀 店主・峠さん「感謝しかない」

8/23(金) 22:46配信

北日本新聞

 小矢部市石動町で住民に愛され続けてきた「焼肉 田原」が25日、半世紀の歴史に幕を下ろす。店主の峠幸子さん(73)が体力に衰えを感じたのに加え、道路の拡幅で建物を壊すことになったからだ。創業当時からの秘伝のたれを守り、住民から「市を代表する名店」と呼ばれてきた。一人で長年切り盛りしてきた峠さんは「お客さんに支えてもらった。感謝しかない」と晴れやかに語る。(小矢部支局長・柳田伍絵)

 石動駅前商店街近くの田原は1965(昭和40)年ごろ、故田原安時さんが創業した。田原さんが一線を退いた後は親せきが営んでいたものの、峠さんが田原さんの姉でもあるしゅうとめから店を継いでほしいと頼まれ、89年に店主を引き受けた。

 小矢部市職員だった峠さんは、飲食店経営は全くの素人。当初はホルモンの種類や肉の切り方も分からなかった。そんな峠さんを常連客は温かく迎え、「いろいろなことを教えてくれた」と懐かしむ。

 扱うのは肉とホルモン、お酒などシンプルなメニューだけ。肉に調味料は付けず、そのままの味わいと、創業当時から手作りしているしょうゆだれで楽しんでもらう。カウンターにいる峠さんの手が回らなくなると、客自らビールをジョッキに注いだり、座敷まで商品を運んだりしてアットホームな雰囲気だ。峠さんは「わがままな私にお客さんが付き合ってくれた」と感慨を込める。約30年通っている同市泉町の自営業、鷹田康博さん(52)は「ここの肉は格別。みんなに愛されていた」と語る。

 店の前の県道の拡幅が決まり、店を続けるなら建物を建て直さなければいけない。平成の始まりとともに店を引き継ぎ30年。峠さんは体力の衰えも感じており、閉店を決めた。「いろいろな人と出会えた。長い間ありがとうございました」と充実感を漂わせた。

最終更新:8/23(金) 22:46
北日本新聞

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