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繰り返される「のぞき見採用」 リクナビ問題に透ける新卒採用の“勘違い”

8/23(金) 8:00配信

ITmedia ビジネスオンライン

 リクルートキャリアが就活情報サイト「リクナビ」の閲覧履歴をもとに就活生の内定辞退率を予測して企業に販売していた問題で、トヨタ自動車とホンダに加え、リクルートホールディングス、さらにはメイテック、三菱電機、京セラ、テクノプロ・ホールディングスなども購入していたことが分かりました。

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 いずれの企業も「採用の合否には使っていない」と説明していますが、「どこに住んでるの?」と聞くだけでも、個人情報うんぬんでタブー視される世の中だというのに、こと就活に関しては“のぞき見オーケー”とは。実に微妙です。

 これまでも企業はあの手この手で“のぞき見”を繰り返してきました。

 2010年前後は「学生の素顔を知る手段」としてSNSを活用し、「企業から好印象を持たれるためのFacebook就活対策セミナー」なるものも増加。セミナーでは、企業に好印象を持たれるためのポイントとして、

1. プロフィールアイコンは笑顔でアップの写真を使う
2. 友達は50人以上フォローする
3. 週に2回以上前向きな書き込みをする

 を挙げ、学生たちはFacebook上の“人格”を必死で磨いていました。

 といっても実際は、もっとシビアにのぞき見をしていたようで、「『こいつは使える』と認めてもらうには、最低でも友達1000人が必要。だから僕も手当たり次第名刺を交換して、友達申請をバンバン1カ月くらいかけてやってます!」だの、「『いいね!』をたくさんもらえているかどうかっていうのも、結構見られているんです。『いいね!』が多い人はコミュニケーション能力が高いと判断される。僕も『いいね!』をたくさんもらうためにつぶやいて、もらえないと落ち込んでしまいます」だのと、当時、学生たちが教えてくれました。

 「いいね!」の数がコミュニケーション能力のものさしとは……。いったい何なのでしょう?

「顔の見えない採用」に精を出している

 学生にはコミュニケーション能力を求めるのに、採用側のコミュニケーション能力は著しく貧弱。そう感じずにはいられない事態が毎年毎年、手を替え品を替え、繰り返されています。

 同じ会社のメンバーになったら、毎日顔を合わせ、コミュニケーションを取るのは「自分自身」です。それにもかかわらず、人工知能(AI)に頼ったり、SNSの発信を重要視したり。直接対話より間接対話を頼る。「顔の見えない採用」ばかりに精を出すから採用に失敗する。本末転倒というべきか、あべこべというべきか。申し訳ないけど私の小さい脳みそには「?」マークだらけです。

 冒頭のリクナビのデータに関しては、「個人情報利用の許可を取っていなかったことが問題であって、データを使うことは悪いことじゃない」という意見もありますが、そんなものを使ってどうする? 採用という「未来の一緒に働く仲間」を選別する作業にとって、過去の「自分たちの仲間でもない学生」のデータにどんな価値があるのでしょうか?

 そもそも採用試験ではやたらに「優秀な人材」という言葉が使われますが、仕事とは、好むと好まざるとにかかわらず、やらなければならないことの繰り返しです。自分のやりたい仕事なんてものは、何年もキャリアを重ねた結果、やっとたどり着けるものだし、どんな逸材でも、生かすも殺すも「入社後」次第。どんな上司や先輩と出会うかが全てと言っても過言ではありません。

 いい人材を採用したいなら、あれこれ姑息なことをやる前に、まずは自分たちがそのいい人材になればいいのではないか。などと少々意地悪なことを言いたくなるほど、私の脳内は「????」だらけになっているのです。

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最終更新:8/23(金) 8:00
ITmedia ビジネスオンライン

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