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iPS細胞の生みの親・山中教授が講演 「研究者になったワケ」「ゲノム編集への危機感」など語る

8/23(金) 10:56配信

ITmedia NEWS

 京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授が8月22日、科学技術振興機構(JST)のイベント「『国際科学オリンピック日本開催』シンポジウム」に登壇し、未来の科学者を目指す学生たちに、iPS細胞を生み出すまでの過程や、科学技術の発展について懸念点などを語った。

【図解】iPS細胞ができる仕組み

 同イベントは、中高生が生物学・化学・数学などの能力を競う「国際科学オリンピック」が2020~23年に日本で開かれることを記念した企画。山中教授は、研究者を志したきっかけは父親の死だったことなどを明かし、会場に詰めかけた聴衆は真剣な面持ちで聞き入っていた。

父親がC型肝炎に

 山中教授が幼いころ、町工場で働いていた父親が仕事中に負傷。父親は病院で輸血してもらい、けがは無事に治ったが、直後に肝臓の病気を発症した。山中教授は「実は輸血によってC型肝炎ウイルスに感染していたのですが、当時の医学ではそんなことは分かりません。私が中学生や高校生になっても、原因は不明のまま、体調はどんどん悪くなっていきました」と振り返る。

 「私は1987年に大学の医学部を卒業し、臨床医になりました。父に痛み止めの点滴を打ってあげると、うれしそうにしていたことを今も覚えています」と山中教授。しかし、その後も父親の体調は戻らず、翌88年に58歳で亡くなった。

 「せっかく医者になったのに父親さえ救えなかったことが、私にとっては大きな衝撃でした。その後も重い病気の患者さんをたくさん診る中で、『彼・彼女らを治すには、(臨床ではなく)研究するしかない』と一念発起し、大学院に入り直して研究を基礎から学びました」

 くしくも山中教授が父親を亡くした翌年、米国の研究グループがC型肝炎ウイルスの遺伝子の一部を発見。その後約25年にわたって世界中の学者が研究を進め、14年にC型肝炎の特効薬「ハーボニー」が開発された。山中教授はこのことに触れ、「世界の研究者が努力しても、ウイルスの発見から特効薬の誕生までに25年かかる。研究はマラソンのような時間のかかる仕事なのです」と難しさを語った。

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最終更新:8/23(金) 10:56
ITmedia NEWS

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