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「表現の不自由展・その後」中止を考える緊急シンポ 出展作家「表現の自由を守れ」と再開訴え

8/23(金) 11:10配信

BuzzFeed Japan

あいちトリエンナーレ2019の企画展「表現の不自由展・その後」が中止となったのを受け、雑誌『創』編集部など複数のジャーナリスト団体で作る実行委員会が8月22日、都内で緊急シンポジウムを開催した。

観客約500人で満席となった会場で、出展していた作家ら5人が非公開となった作品をスライドで紹介し、「表現の自由を守れ」と、口々に展示の再開を訴えた。
【BuzzFeed Japan / 岩永直子】

まず作品を見て議論を

「表現の不自由展・その後」は、全国各地で展示が中止になったり、展示に圧力を受けたりした作品を集め、日本における表現の自由について問題提起するために企画されたもの。

特に、「平和の少女像」や、昭和天皇とみられる写真を燃やす作品に、テロ予告を含む抗議の声が殺到し、開催3日目で中止が決まった。

この日のシンポジウムを企画した進行役の創編集長の篠田博之さんは初めに、「(中止は)日本の表現の自由を象徴している。このまま放っておくと、どんどん暴力によって表現を潰すということになっていく。何としてもそうならないようにしなくちゃいけないというのが今日のシンポジウムの趣旨」と話し、こう呼びかけた。

「出展した人がどういう作品だったか説明してもらう。今、議論している人たちは作品を作品を見ないで議論している。それは良くないので、スタート地点からもう一回やり直しましょう」

「アーティストだけが被った被害ではない」

最初に登壇したのは、日本軍の慰安婦とされ、中国に残された朝鮮人の女性たちを撮影した写真作品「重重」を出品した安世鴻(アン・セホン)さん。

この作品は元々、2012年に新宿ニコンサロンで展示されたが、開催1か月前に同サロンが「諸般の事情」を理由に中止通告をした。

結局、仮処分申請によって開催はされたが、会場は金属探知機や手荷物検査のチェックを受けた上で入場するようにされ、作家の取材も禁止された。会場の外では右翼が連日抗議の声を上げ、大阪ニコンサロンでの展示は中止された。

安さんはその後3年にわたる裁判で勝訴し、2015年には東京・練馬のギャラリーで開催された「表現の不自由展」にも出品したが、「性奴隷はいなかった」「全て嘘だ」「韓国に帰れ」などと妨害を受けたという。

安さんはそうした経緯を語った後で、2001年から中国に残された慰安婦の女性を、証言を聴きながら撮影してきたと説明した。

「60年以上前の記憶や怒りを表出してくれた。性奴隷として被害に遭った家で亡くなるまで暮らしたため、当時の記憶を忘れることができず、怒りがずっと残っていた」など、一人一人のエピソードを写真を見せながら語った。

安さんは、今回の中止についてこう考える。

「(ニコンサロンの展示に関する)判決文では、公共の場での表現の自由を強く主張していましたが、今回の事件は、愛知県が行う公共の行事でありながらこのようになってしまい、民主主義の退行を感じています」

「展示の中止は私たちアーティストだけが被った被害ではないと考えています。見る人、受け手の感じる権利も大切だと思ってみなさん集まってくださった。今回の中止騒動を受けて、みんなで連帯して展示の再開を願うと共に、私たちの知る権利、表現の自由を守っていければと思います」

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最終更新:8/23(金) 11:10
BuzzFeed Japan

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