ここから本文です

「表現の不自由展・その後」中止を考える緊急シンポ 出展作家「表現の自由を守れ」と再開訴え

8/23(金) 11:10配信

BuzzFeed Japan

「中止される理由がない」「政治家が法を無視した発言」「既成事実にしてはならない」

路上でマネキンのようにポーズを取って政治的なメッセージをアピールする「マネキンフラッシュモブ」というパフォーマンス。

神奈川県海老名市から「通路での集会やデモを禁じる条例に違反する」として禁止命令を出され、裁判で勝訴した朝倉優子さんは、同展にパフォーマンスの数々の記録写真を出品していた。

朝倉さんは、「違法なことをやっていないのだから、中止される理由が一つもない。ぜひ再開をと思っています」と訴えた。

また、かまくらのような造形の天頂に日の丸、底にはアメリカ国旗を敷き詰め、外壁に靖国参拝批判や憲法9条尊重などを訴える言葉を貼り付けた中垣克久さんの作品「時代の肖像ー絶滅危惧種 idiot JAPONICA 円墳ー」は、東京都美術館から作品のメッセージが問題視され、その部分の撤去を強制された過去がある。

中垣さんは今回の中止について、「法を守ることをリードしなければならない立場の政治家から、率先して法を無視、法を忘れてしまったような発言が飛び出し、それに乗せられたトリエンナーレの企画者達の軽率さ、無能さがこの事件を生んだ」と厳しく批判した。

さらに、さいたま市の公民館の公報に載るはずだった市民の俳句「梅雨空に『9条守れ』の女性デモ」が、公民館によって掲載拒否され、裁判で勝訴した「9条俳句」事件を支援してきた武内暁さんは、今回の中止騒動を受け、名古屋市で展示再開を求める市民運動を展開していることを報告した。

そしてこう宣言した。

「絶対にこれを既成事実にしてはならない。再開を求める。ここで再開しなければ、レイシズムやヘイトの問題、テロに屈するわけです。私たちは小さな声ですけれども、本当の意味で表現の自由を勝ち取っていく。息苦しさに風穴を開ける」

単純な記号化で語るな

また、今回、従軍慰安婦を想起させるとして抗議の声が集まっている「平和の少女像」については、過去に東京都美術館に展示を中止させられたブロンズ像を2012年に展示した経験がある「原爆の図丸木美術館」の学芸員、岡村幸宣さんが語った。

「慰安婦の像というのは当然、攻撃の対象となり得るという認識は当時の私にもありましたし、正直言って怖い気持ちが全くないわけではなかった。炎上は怖いし、私も含めた職員や家族の安全も考慮しなくてはならないという気持ちが働いた」

ただ、丸木美術館は公益財団法人に認定され、公益性のある展示をするよう定められていることに触れ、こう考えを述べた。

「河村たかし市長や菅官房長官とは認識が違うかもしれないが、公益性を持つ場所は国の意見の代弁者ではなく、多様な意見、少数派ではあっても重要な意見の発表の場を担保する場と捉えている。その考えに基づいて淡々と展示を受け入れたのは特に勇ましい行為でもなく、学芸員として最低限守るべきことを守った」

2015年の「表現の不自由展」で等身大の少女像を見た岡村さんは、「私もこの像を見るまでは『慰安婦像』という記号で見ていた節がある。でも等身大の像を見て、隣に座った時に、記号的なものが溶けていく気持ちになった。ほおも赤みが差していて、血が通った一人の人間として作品を向き合えた気がしたんです」と語った。

そしてこう述べた。

「必ずしも反日というレッテルによって消費されるべき作品ではない。昨今の動向として、大浦さんの作品もそうですが、非常に単純な記号化をされる。繊細で複雑な文脈を読み解こうとしないで、非常にシンプルな記号化の中で議論が暴走していく。そういうことが近年非常に感じられて危惧しています」

3/4ページ

最終更新:8/23(金) 11:10
BuzzFeed Japan

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事