ここから本文です

【特集】選管職員が起こした死傷交通事故...背景に月約230時間もの時間外労働

8/23(金) 15:39配信

MBSニュース

おととし、兵庫県川西市の選挙管理委員会の職員が居眠り運転で起こした交通事故で、1人が死亡、4人が重軽傷を負った。裁判の中で職員は、ひと月で約230時間もの残業を行うなど過労状態だったことが認定されたが、なぜ、このような異常な働き方をしていたのか。

遺族「フォーカスすべきは過重労働」

母親の墓石に手を合わせる40代の男性。この男性は2年前、66歳だった母・細川千賀子さんを交通事故で失った。

「あまりにも突然すぎて。僕自身ももっといろんなことをさせてあげたらよかったなぁと。本人ももっとしたかったやろうなぁ。」(細川千賀子さんの長男)

おととし10月、兵庫県川西市の県道で、選挙管理委員会事務局に勤務する50代の男性職員が運転していた軽乗用車が、突然、対向車線へとはみだし、細川千賀子さんが運転する車などに次々と衝突。細川さんが死亡し、4人が重軽傷を負った。

職員と同じ部署の同僚の勤務日報を見ると、おととし、2017年10月は毎日朝早くから夜遅くまで勤務していたことがわかる。土日も休みなしだった。神戸地裁はこの日報などから、事故を起こした職員のひと月の残業時間が229時間以上だったと認定した。そして裁判では、事故で死亡した細川さんの長男も証言台に立った。

「遺族として証人尋問に出て、刑事罰はいらん、必要ないと言った。それよりも選管のシステムを改善してほしい。フォーカスしないといけないのは過重労働。」(細川千賀子さんの長男)

長男は職員の無罪を求めたのだ。神戸地裁は今年7月、事故の原因は居眠り運転だったとして過失運転致死傷の罪に問われた職員に対し、禁錮2年執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。判決の中で裁判官は「事故の責任を個人にのみ帰することは酷というべきである」と述べた。

「裁判所の方は事件背景を酌んでくれている。非常に寛大な判断をいただいた。」(男性職員の弁護人 岩田和久弁護士)

区割り変更・台風接近…業務に忙殺された職員

一体なぜ、1人の職員に過酷な勤務を負わせていたのか。川西市のトップに聞いた。

「さまざまな選挙に関わる事務というのは通常2か月から3か月かけて行う。ただ、突然の解散ということで、これは日本全国そうかもしれませんが、それを1か月でやらなければならないという状況であった。」(川西市 越田謙治郎市長)

おととし9月、安倍首相は「消費税増税分の財源の使い道の変更について国民の信を問う」などとして、衆議院を解散した。選挙管理委員会の職員たちは突然の解散に十分な準備をすることができなかったという。さらに…

「兵庫の5区・6区という、選挙区が分かれる初めての選挙事務を行うという立場。また、寸前で大きな台風が近づいてきているというそういう状況があった。」(川西市 越田謙治郎市長)

川西市ではこの時、一票の格差を是正するために区割りが変更され、それまで1つだった選挙区が2つに分かれ、業務量が倍増したという。さらに、事故を起こした職員は期日前投票の担当をしていたが、投票日に台風(2017年台風21号)が接近していたことから期日前投票の数が大幅に増え、業務に忙殺されていたというのだ。そして市は、通常であれば有罪判決を受けた職員は懲戒免職とするところを、はるかに軽い停職6か月という処分に留めた。

「われわれとしていくら謝ったからといって取り返しのつかないことをした、この事実は変えることができない事実なので、しっかりとした再発防止に取り組んでいく。」(川西市 越田謙治郎市長)

1/2ページ

最終更新:8/23(金) 15:39
MBSニュース

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事