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発達障がいの子どもが“結果”を出せる 「戦略的ハードル設定」とは

8/23(金) 12:11配信

Medical Note

発達障がいを「障がい」でなくすためには、「ハードルを下げる」「褒める」ことが大切です。しかし「具体的にどのようにしたらよいかわからない」「それをやっても結果が出ないのであれば、解決にならない(将来自立できない)」と考える方も多いと思います。しかし、そんなことはありません。今回は本人や周囲の人々(養育者・教育者・医療者など)ができる“結果を出すためのハードルの下げ方”を紹介します。【国際医療福祉大学病院小児科部長・病院教授・門田行史/メディカルノートNEWS & JOURNAL】

◇不安で積極的になれないケースも

発達障がいの症状に「発達の遅れ」があります。実際には生まれつきの脳の機能異常が原因とされ、本人が遅れを取り戻したくても、すぐに結果を出すのは非常に難しい状態にあります。にもかかわらず周囲や本人が頑張りすぎると、失敗経験が増えて余計にうまくいかなくなり、頭痛・腹痛・めまい・睡眠不足といった体の症状が現れるほか、登校渋り・不登校に至るケースもあります。このような場合に“ハードルを下げる”という対策が有効なことが多く、積極的に勧めています。

ところが、周囲の人たちは「許容や評価の水準を下げる」ととらえがちです。その結果、「養育者も本人も楽になるかもしれないが、許してばかりでは甘やかしになるのでは?」「社会に出て通用しなくなるのでは?」と不安を感じ、積極的になれないケースをしばしば経験します。

◇ハードルの高さ設定は「シェイピング法」で

ハードルの“高さ”は何を考慮して設定すればいいのでしょうか。

発達障がいの特性には時や場所を選ばずに出現してしまう「頑固な傾向」があります。「傾向」の現れ方は人それぞれで、得意(強み)と不得意(弱み)の差が大きいのが特徴です。

ところが、養育者・教育者は、弱みにばかり目を向け、一生懸命になるあまりに(無意識に)ハードルを上げ、それが子どもの負担になってしまう……という悪循環をよく目にします。支援にあたっては、強みと弱みに分け、個人の指標に合わせた目標を設定し、それを達成するためのハードル設定を行うという、“戦略的なハードル設定”が重要となります。

その方法として、アメリカの心理学者バラス・スキナーが開発した「シェイピング法」があります。比較的簡単にできる目標から始めて段階的に取り組み、最終的に課題達成を目指すやり方です。小さな目標から難易度を少しずつ上げながら1段1段上がっていけるよう、具体的なステップを設定していきます。すぐにできそうな小目標から導入するので成功する可能性が高く、“できた感”を大切にして本人のやる気を保つことができます。

この過程を踏むと、本人と養育者の共同作業により信頼関係が深まるケースが多いと考えられます。

戦略的ハードル設定とは子どもと養育者が、結果につながる小さな成功を踏みしめながらベストを尽くすプロセスです。私は外来でこのプロセスを「作戦会議」と呼んでいます。本人主体となるよう大人がサポートしながらご家族で、自発的に共同で「作戦」を立案。私たちからは子どもの特性から考えうる課題解決や悩みを乗り越える方法をアドバイスしています。

「戦略的ハードル設定」とはすなわち、作戦会議+シェイピング法によって成り立ちます。

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最終更新:8/23(金) 12:11
Medical Note

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