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がん5年生存率、前回調査を上回る 単純延命より生活の質を重視する必要も

8/23(金) 18:40配信

THE PAGE

 国立がん研究センターが行っている生存率調査によると、すべてのがんを合わせた5年生存率は66.1%と、前回の集計から0.3ポイント上回りました。がん患者の生存期間は着実に長くなっていますが、一方で、体への負担が大きい治療法については見直しの動きも進んでいます。

罹患部位によって差が出る生存率

 同センターは定期的にがんの生存率調査を行っており、5年生存率の結果を公表するのは今回で4度目となります。5年生存率とは、がん治療において一般的な目安とされている数値で、がんと診断された人のうち、5年後に生存している人の割合が、一般の日本人において5年後に生存している割合に対してどの程度低いのかを示したものです。調査対象となったのは、2009年と2010年の2カ年における約57万例です。

 すべてのがんを対象にした5年生存率は66.1%と前回調査を上回る結果が得られており、がんの治療は確実に進歩していることが分かります。ただ、前回調査と同様、部位とステージ(病期)によって生存率には大きな違いがあり、依然として治療が難しいがんが存在しているのも事実です。

 例えば多くの日本人が罹患する胃がんでは、全体の生存率は71.6%、ステージIの生存率になると95%近くに達しますが、ステージIVは9%と一気に数字が悪くなってしまいます。また肝臓の場合には、全体で40.0%、ステージIで60.4%と、他の部位と比較した場合、治療成績はあまりよくありません。肺がんは、ステージIでは81.2%とかなり高い数字ですが、やはりステージIVになると5.1%に落ちてしまいます。

 一方、乳がんは全体で92.5%と極めて高く、ステージIVでも37.2%と他の部位と比較して高い生存率です。こうしたがんの場合、できるだけ早く治療を受けた方が、その後の結果がよくなるのは明らかでしょう。

身体的負担の大きいがん治療 高齢者には特別な配慮を

 これらの数値は一般的な日本人と比較した相対値ですが、実際に何年でなくなったのかという実測値を見ると、年齢が高いほど、数字に乖離が出てきます。高齢者の場合、がん以外の要因でなくなるケースが多くなり、相対的な生存率よりも実測値の方が低くなる可能性が高いことが原因です。80歳以上では、相対的な生存率は54.4%ですが、実測値は34.7%しかありません。がん以外の要因が大きく影響していると考えられますから、高齢者の場合には、がんの治療法についても、特別な配慮が必要かもしれません。

 従来のがん治療は、年齢にかかわらず同一であることが多かったのですが、高齢者の場合には、抗がん剤など体への負担が大きい積極的な治療は抑制するケースも増えています。日本は世界有数の長寿国ですから、単純に延命することよりも、患者の生活の質(QOL:クオリティ・オブ・ライフ)をより重視していく必要があるでしょう。



(The Capital Tribune Japan)

最終更新:8/23(金) 18:40
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