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【高校野球】「僕はいい人になろうと思ってない」東海大菅生高校野球部監督・若林弘泰の指導術

8/23(金) 13:38配信

テレビ東京スポーツ

そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない

「優しくなろうとするのは簡単。僕はいい人になろうと思ってない。」勝負の厳しさ。その教えが選手を大人にしていく。7度目の甲子園を目指す東海大菅生高校野球部監督・若林弘泰。チームはこの男の手腕で強くなった。監督の若林は元プロ野球選手。プロで挙げた勝利はわずか1勝。紆余曲折を経て、高校野球で花を咲かせた。苦労の果ての指導術。その秘密を知りたくて、取材は始まった。

「都立大島高校野球部」に半年間密着/Humanウォッチャー

去年12月。凍える寒さの早朝に彼らは山道に向かった。走り切れるかどうかギリギリの6千メートルに挑む。鍛えるのは気持ちの強さ。きついトレーニングを妥協するか、自分に勝って自分の限界を求めるか。総勢107人の大所帯。若林は、人との競争よりも己との戦いに重きを置く。

若林は社会科の先生。それもあってか、自主自立を尊び選手に任せる部分も多い。例えばある日の試合後、ミーティングに監督の姿はなかった。まず自分達で今日の試合どうだったか選手たちだけで考えさせる。最終的には彼らの中で問題点を見つけ出し、改善するためにはどんな練習をしたらいいかまで進めて欲しい。これが若林のやり方だ。

4月。新入部員が入って来た。彼らに最初に伝えた言葉は…「寮生活、学校生活をきちっとする。授業態度を含めて生活をきちっとする。生活がプレーにでるから。もっと言えば性格がプレーにでるから、いい加減なやつはいい加減なプレーするし、いい加減なやつは大事な所で大ポカをする。生活から直さなければ駄目」日々の生活にも規律を求める、それが東海大菅生の野球。

東海大菅生高校野球部107人の競争は激しい。AとB、二つのチームがあり結果次第で頻繁にメンバーが入れ替わる。Bチームの練習試合。ここで活躍すればAチームに上がれる。だが序盤からバントミスや凡打が続き、守備もミスが多く見られた。試合後、若林は選手たちにこう語りかける。「(Aチームを)外された時の行動は人間の本性。(Bチームに)落とされた時が勝負。そういう所を人は見ている。仲間から信頼されていないから結果が出ない。俺に信用されるではない、仲間から信用されてないから駄目。」

仲間から信頼されることの大切さを若林は身を持って知っている。25歳、ドラフト4位で中日ドラゴンズに入団。だが怪我に泣き、大半の時間を二軍で過ごした。結局、一軍では6年間でわずか1勝。引退後は運送会社で働くが、夢だった高校野球の指導者になると決意した。現在では、3日間の研修を受ければ、プロ経験者も高校生を指導できる。だが当時は、教員であることが絶対条件。そのため若林は教員免許取得のために仕事を辞め、大学に入リ直した。苦労と思わなかったのは、仲間の支えがあったから。仲間がどれだけありがたいか、現役を退いてからよく分かった。

42歳にして第二の野球人生を始めた若林には憧れの存在がいる。それは高校時代の恩師、原貢(みつぐ)さん。原貢は、原辰徳の父でもある名監督で二度の甲子園優勝を誇る。ピッチャーだった若林は打たれてよく叱られたという。けれどユニフォーム脱いだ時は普通に優しく接してくれ、色々な話をしてくれた。自分もそんな指導者になりたい。だから若林は公式戦の時だけ、帽子の中に敬愛する原貢氏の写真を忍ばせて指揮をとっている。

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最終更新:8/23(金) 13:38
テレビ東京スポーツ

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