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[コラム]中断されている強制徴用実態調査

8/23(金) 7:36配信

ハンギョレ新聞

 今回の韓日葛藤は前例のない様相だ。歴史問題をめぐって日本が攻勢的になったことは初めてだ。歴史問題葛藤が経済・貿易葛藤にまで拡大したのも以前にはなかったことだが、今はさらに安保分野にまで影響を与えている。こういう姿を見れば、私たちの周辺環境が意味深長な変曲点を過ぎているのではないかとの診断に、喜んで“一票”を投じたくなる。

 韓日葛藤がどこへ行くかはまだ推測の領域だ。多くの人々は、韓国最高裁(大法院)の強制徴用賠償判決を拒否した新日鉄住金(現、日本製鉄)と三菱など日本企業の韓国内差し押さえ資産が現金化される時期に注目している。これらの資産が競売を経て徴用被害者の慰謝料として支給されれば、日本政府が追加報復に出る可能性が大きいためだ。そうなれば、韓国政府も正面対抗に出ざるをえなくなり、韓日関係はさらに厳重な時期をむかえることになる可能性が高い。

 手遅れかも知れないが、問題の解決方法がまったくなかった件でもなかったと考える。問題は、強制徴用問題に対する韓日間の相反する判断をどのように折衷するかにある。日本政府は「強制徴用問題が1965年の韓日請求権協定で完全に解決された」と主張するのに対して、韓国最高裁は「不法な強制徴用問題は民事的・財政的債権・債務関係を整理した請求権協定の対象ではない」と正反対の判決を出している。韓日間の立場の違いが明確で、直ちに狭まる余地がないのが現実ならば、いっそこれに対して破裂音を出すのではなく、先ずは差を認めることはできなかったのだろうか?それにより韓国の主張は韓国領土内で効力を持ち、日本の主張は日本の領土内で効力を持つように置いておくわけだ。

 現実的に、韓国裁判所の差し押さえ対象は日本企業の韓国内資産に制限せざるを得ない。新日鉄住金の場合、現在差し押さえが可能な資産は製鉄副産物のリサイクル企業「PNR」の株式持分30%(株式234万株)だという。設立資本金(390億ウォン=約34.3億円)基準で130億ウォンであり、資産総額(2018年12月基準で707億ウォン=62億円)を基準とすれば235億ウォンだ。このうち株式8万1075株(約4億ウォン=35百万円)が押収された状態だ。年間売上高60兆ウォンを超える新日鉄住金としては大きな金額ではない。三菱は価値の評価が難しい商標権や特許権など知的財産権が押収されているだけだ。したがって韓日関係の悪化を担保に正面から反発する程に大きな問題ではないとも言える。

 現実はもちろん他の方式で作動した。そこには、そうならざるをえない日本国内の政治的要因、内部論理があっただろう。それでも安倍政権が韓日関係の悪化を押し切ってまで日本企業に「賠償するな」と指示し正面衝突を選択したのは、韓国最高裁判決が1965年の韓日協定体制を揺れると見たためであるようだ。「子どもたちにずっと謝罪の宿命を担わせてはいけない」という歴史修正主義者の安倍晋三首相にとって、65年体制は既存の歴祖問題解決方式の基盤であっただけに、譲歩する余地が殆どなかったのではないかと思う。大きな枠組みで見れば、米ソ冷戦時期に65年体制が後押しした韓米日三角体制が、文在寅(ムン・ジェイン)政府の南北和解・平和政策によって弱まることも黙って見ていることはできなかったのだろう。

 今回の韓日葛藤は、長期戦となる可能性が高いという展望が多い。これは、歴史問題をめぐる韓日間の根本的な見解の差の衝突であり、今後の南北和解か対決かの分かれ目になる葛藤だ。日本政府もそうだが、韓国政府も生半可な縫合や妥協は容易でない。

 すでに起きてしまった争いなので、正しく争えば良いだろう。そうした点で、強制徴用の実態調査が依然として不十分な点は残念だ。実態調査は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府時期に「対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者等の支援に関する特別法」が制定され進行されたことがあるが、現在は2015年12月に特別法が延長されずに中断された状態だ。しかし、実態研究の“実弾”なしに、どのようにして徴用被害者を「朝鮮半島出身労働者」で呼び直し、強制動員問題を薄めようとしている日本に対抗できようか。そのうえ、徴用被害者は高齢なのでますます生々しい現場経験を伝え聞くことが難しくなっている。急ぐ必要がある。

パク・ビョンス論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:8/23(金) 7:36
ハンギョレ新聞

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