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17歳の注目女優・南沙良が明かした、等身大の“いま”「映画に出られることが、嬉しくて仕方ない」

8/23(金) 19:00配信

Movie Walker

『お盆の弟』(15)の大崎章監督が、シンガーソングライターの西山小雨の楽曲「未来へ」を原案に、台本なしの即興芝居で紡いだ『無限ファンデーション』が、いよいよ8月24日(土)より公開となる。このたび、本作で主演を務めた17歳の注目女優、南沙良を取材し、撮影の裏話はもちろん、等身大の“いま”の気持ちを尋ねた。

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人付き合いが苦手な女子高生の未来(南)は、服飾デザイナーになる夢を胸に秘め、誰にも打ち明けることなく退屈な日々を過ごしていた。ある日の帰り道、リサイクル施設から聴こえる澄んだ歌声に導かれ、ウクレレを弾きながら歌う不思議な少女、小雨(西山)と出会う。さらには未来が描いた洋服のデザイン画を目にした演劇部のナノカ(原菜乃華)たちに誘われ、舞台の衣装スタッフとして入部することになる。戸惑いつつも小雨やナノカたちに心を開いていく未来だったが、彼女たちの一夏はやがて思いがけない方向へと走りだしていく…。

■ 台本も着地点もない「即興劇」

――本作は即興劇によって作られたということですが、台本もなかったんですか?

「なかったです。事前に監督から全体の流れを説明していただいて、リハーサルを1、2回やっただけ。あとは現場で、ひたすら順撮りで撮っていきました。複数台のカメラを構えて、全シーンほぼ一発撮り。前日に準備ができないので、すごく緊張して撮影に挑みました」

――台本がないということは、各シーンの「着地点」は監督から説明されないんでしょうか。

「はい。だからお芝居していても、どこでカットがかかるかわからないんです。毎回、『あ、そこなんだ』って(笑)。そのうえ監督からは、事前に決めた流れから違う方向に行くかもしれません、とまで言われていました。例えば、ナノカがオーディションの一次面接に失敗して演劇部に戻りたいと言ってくるシーン。当初は部員たちがそれを受け入れられない方向性だったんですけど、実際にカメラを回して部員同士が話し合っていくうち、ナノカを受け入れる方向に変わっていったんです」

――あのシーンはものすごい緊張感に満ちていました。徐々に場の空気が変わっていくのがとてもリアルで。

「そのシーンに限りませんが、すべてがセリフの決まっていない即興演技なので、会話のなかに変な間ができたり、2人以上が同時にセリフを言ってかぶったりも、あえてそのまま。そんな意味でもリアルでしたね」

――共演者の方と、事前に打ち合わせたりはしなかったんですか。

「ええ。あえて全然話しませんでした。実は、私も含めた共演者の皆さんは、撮影中ずっと『この映画、本当にできあがるのかな?』って不安だったんです(笑)。だけど完成した作品を観たらちゃんとつながっていたので、安心しました。『良かったね!』って言い合って」

■ 未来と重なる部分、重ならない部分

――南さんが演じた主人公の未来は、服飾デザイナーになる夢があるものの、非常に内向的で、その夢を積極的には外へ発信できない性格です。こういったパーソナリティ設定も、即興で決まっていったのでしょうか。

「事前にざっくりとだけ決まっていて、リハーサルの時に役になりきって自己紹介しながら固めていきましたね。そういう意味では、私も未来と同じくお洋服を作るのが好きですし、友達もなかなかできないので(笑)、自分と重なっている部分は多いかもしれません。ただ、未来ほどオドオドしていませんよ。自分の意見は一応しっかり言います」

――小雨との出会いでも、未来は異常に困惑していました。

「あれは不思議なやりとりでしたね。私、小雨さんの歌が大好きで、よくライブにもお邪魔するんですけど、小雨さん自体が劇中の小雨そのまま。妖精っぽいというか、常に内側からハッピーオーラを出している方なんです。…ところで、未来は小雨の“正体”に、いつ気づいたんでしょうね。私はいまだにわかりません(笑)」

――そんなオドオドした未来ですが、自分の作った衣装を汚された時の、泣きながらのお芝居には圧倒されました。

「監督から『未来はそれまでずっと感情をしまっていたけど、このシーンだけは爆発させてください』と言われたんです」

――いっぽう、未来とその母親(片岡礼子)とのやり取りは、まるで友達同士のように和やかでした。

「私も、母親とあんな感じですよ。ただ、未来みたいに仕事の話はなかなかしませんね。するとしても、もっと軽い感じです(笑)」

――モデルのお仕事をはじめる時、深刻な相談はしなかったんですか?

「はい、全然(笑)。私は小さい頃から『女優さんになりたい』と周りにずっと言っていたので、『ニコラ』のオーディションを受けたいと母に言ったときも『どうぞ』って。それから一貫して応援し続けてくれています。むしろ『両親の反対を押し切って芸能界入り』みたいなことをやりたかったですね。そのほうが、ドラマチックでおもしろいじゃないですか(笑)」

■ 友達との争い事は避けてきた

――撮影を振り返って印象深いシーンを教えてください。

「私が演じる未来、ナノカ、百合(小野花梨)の3人が教室で言い合いをするシーンですね。ナノカの想いがすごく伝わってきました。心の奥底から出る言葉というか、想いってこんなにさらっと出てくるものなんだと、びっくりしたんです」

――そういう経験はありますか? 友達同士で感情をぶつけあって、ヒリヒリするような。

「それが、ないんですよ。そういうのを避けてきた人生なので(笑)」

――劇中で描かれる学校生活は、ご自分のそれと比べていかがしょう。

「普通、ほかのクラスの知らない子が声かけてきたりはしないですよね。もし私が未来みたいに『その絵、かわいいね』なんて突然言われたら、心臓が止まりそうになりますよ」

――ということは、それをきっかけに演劇部に入部したりなんて…。

「しないです! 未来、結構チャレンジャーですよね」

――女優志望のナノカは、日程がかぶってしまっている演劇の大会を捨ててまで、映画のオーディションに挑もうとします。仲間との決別をも覚悟して自分の夢を叶えようとしたわけですが、もし南さんが同じ境遇に立たされたら、どうしますか?

「悩みますが、私はオーディションに行くかもしれません。ただ、正直に仲間に説明はしないでしょうね(笑)」

――じゃあ、これまたナノカと同じくオーディションに失敗したら? ナノカは「演劇部に戻りたい」と言い放ったわけですが。

「私だったら、さすがに戻れないなあ。夏休み中ずっと家でおとなしくしてます。友達関係が切れたとしても、争いは…争いだけは避けたいので(笑)」

■ 「イケイケのJK」はどう観るんだろう?

――今回、主演映画としては『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18)に続く2本目ですね。

「小さい頃から映画が大好きだったので、自分がいまこうして映画に出られていることが、嬉しくて仕方ないんです」

――『志乃ちゃん』では綺麗な歌声を披露されていましたが、先ごろ公開された「キリン 午後の紅茶」のCMでも、JUDY AND MARYの「Over Drive」を透明感たっぷりに歌われています。

「歌は…あんまり(笑)。でも『Over Drive』はカラオケでちゃんと練習しましたよ!」

――エレキギターが板についていますね。

「もともとアコースティックギターは弾いていました。エレキギターはアコギより重かったですけど弾きやすかったですね。なにより、バンドでみんなと音を合わせるのがすごく楽しかったです。アコギは常にひとりで弾いていたので」

――『志乃ちゃん』や『無限ファンデーション』と同じく、ここでも舞台は学校です。

「実は学校の教室で撮影するのって、すごく緊張するんですよ」

――つまり『無限ファンデーション』は即興芝居と教室撮影で、2倍緊張したということですね。お疲れさまでした。すでに昨年11月の「MOOSIC LAB 2018」などでは上映されていますが、今回の一般興行でようやく多くの観客の目に触れますね。

「同年代の女優さんたちと一緒に、本当に自由に作った映画なので、観た方がどういうふうに受け取るのかなって、すごく考えちゃいます。たとえば私と同世代の…イケイケのJKたちがこれを観てどう感じるんだろう、とか(笑)。とにかく、たくさんの人に観てもらいたい作品です」

(Movie Walker・取材・文/稲田 豊史)

最終更新:8/23(金) 19:00
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