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DISH// 自身史上最大級の野外ライブは、ずぶ濡れ涙雨のち、ハレ!

8/24(土) 21:30配信

エキサイトミュージック

比類なきダンスロックバンドとして活躍するDISH//が、富士急ハイランドコニファーフォレストにて自身最大規模となる野外単独ライブを開催。様々なミラクルと感動を巻き起こした。

ライブ開演まで振りしきっていた雨は、まるで演出かのように小降りに。ビビッドな黄色のスーツに身を包んだ4人が、バックステージから舞台上へ姿を見せる映像が大型ビジョンに映し出されると、8,000人のスラッシャー(DISH//ファンの呼称)は、歓喜の声を上げた。

記念すべき1曲目は、今年4月にリリースされた3rdアルバムで、キャリア最高位を記録した『Junkfood Junction』でも1曲目の「This Wonderful World」。泉大智の叩きだすダンサブルで力強いビートに乗せ、北村匠海が「すばらしい1日にしよう」と歌い、ライブは晴れやかにスタートした。



「こんにちは! DISH//です」とあいさつし、ダークでスリリングなナンバー「僕たちがやりました」へなだれ込んだ。橘柊生が低音のボーカルを響かせ、矢部昌暉はエッジ―なリフや荒々しいギターソロを披露。早くも彼らの持ち味の1つである、ロックバンドとしてのパワフルさを証明した。「勝手にMY SOUL」では、匠海が花道へ走り出し、全身で歌詞の世界観を体現。はやる気持ちを抑えられないのか、高揚した口調で「『Junkfood Attraction』へようこそ。雨は止むさ、きっと止むさ! 今日楽しみにしていましたか? 僕らもです!!」と叫んだ。

キュートなラブソング「スマホの中のラブレター」を4人全員で歌いつなぎ、あいみょんがDISH//に贈ったラブソング「へんてこ」では、匠海がアコギをかき鳴らした。切ないラブバラード「理由のない恋」は、柊生の繊細なタッチのピアノが優しく彩った。

ここでようやくMCでひと息。昌暉が「(今日はこれから)昔の曲をやったり、やらなかったり」と、もったいつけると、匠海は「そんな“におわせ”していいんですか」と突っ込む。雨が止んだタイミングがMCと重なり、「雨、上がった。ほぅら、上がったろが!」と、ここぞとばかりにどや顔を見せたが、柊生は冷静に「昌テル坊主のおかげだね」とぽつり。いつもながらの息の合ったトークを展開し、スラッシャーは仲の良いやり取りを嬉しそうに見守っていた。



中盤は、DISH//のもう1つの魅力であるダンスをフィーチャー。ご機嫌なロックンロール「TENKOUSEI」に乗せ、フロント3人が揃いのステップを軽やかに踏みながら歌いオーディエンスを魅了した。ユーモラスな歌詞が耳に残る「ピーターパンシンドローム」では、柊生が鼓を手に持ってお立ち台へ。イントロで歓声が起こった「HIGH-VOLTAGE DANCER」は、エアーではなく生演奏を初披露した彼らにとって転機の1曲。繊細なピアノから怒涛のロックへと転換する「アイロニスト」で前半のクライマックスを迎えた。

バックステージから再び姿を見せた4人は、ゴージャスな揃いのドレスシャツスーツに着替えてトロッコに乗車。「GRAND HAPPY」に合わせて匠海と大智、昌暉と柊生の2手に分かれて場内を周遊しながら、彼らのロゴ入りの紙皿を観客に大量投下した。皿を手にしたスラッシャーたちは、メンバーの合図で皿を上空に投げ上げた瞬間、華やいだ空気に包まれた。

ノリの良いEDM「クイズ!恋するキンコンカン!」でお茶目なパフォーマンスで笑顔を誘いながら、トロッコ2台はアコースティックセットが組まれたセンターステージへ到着。実は、4人が着替えて再登壇したのと同時に、急に雨は激しさを増していた。空を恨めしそうに見上げ、「雨、やべー」とつぶやく柊生。「椅子、びしょびしょで座るの嫌だな」と苦笑いする匠海を見て、急に「匠海、雨に濡れるとカッコいい」と言い出す柊生(自由すぎるトークもDISH//の魅力である)。文字通り、水も滴る……。だが、匠海をちらっと見た昌暉は「エロい」とひとことつぶやいただけだった。「予定では、いい天気のはずだったのに……。でも、雨の中でアコースティックをやるのも、バカっぽくていいよ」と匠海があっけらかんと言い放つと、スラッシャーは笑いながらうなづいた。



とはいえ、雨はバンドにとって厄介者。エレキギターやキーボードなど通電する機材は特にトラブルに見舞われやすい。「ギター、大丈夫? 俺のじゃないけど」と冗談を交えながら昌暉を気遣っていた柊生だが、実際はキーボードが雨の犠牲に……。急遽機材チェンジを余儀なくされた。だが、ここは雨のライブを得意とする(?)DISH//。「初Zepp以来の大トラブル」と言いながらも、慌てふためくこともなくフリートークでスラッシャーを和ませた。

バンドセットが整うまでの間、次に演奏する「乾杯」の誕生秘話も語られた。柊生は「4人で作詞しました。サビは大智です」とさらりと話したものの、メンバーの中でもひときわこの曲への思い入れが強い。「柊生は今回のリハでもこの曲をやるたびに泣いてた」と暴露される一幕も。

昨年末、大智から「DISH//は今のままで大丈夫か? 僕はダメだと思う。このままでは自分はいなくなってもいいとすら思う」と、危機感を伝えてきたのだという。メンバー全員も、2019年は正念場だと感じており、それぞれの思いが昨年末の忘年会でぶつかり合った。スタッフも交えて熱くなっていたとき、「ちょっと待って。みんなDISH//が好きだからこうなってるんだよね。じゃあ、乾杯!」と、一致団結。チーム・DISH//として意志が固まったという。はじめに覚悟の言葉を切り出した大智が、「乾杯」のサビに「アイラブユー」と何度も書いてきたのだから、メンバーはぐっと来ないわけがない。アルバムのインタビューでも、柊生は「乾杯」に特別な思いがあると語っていた。ハッピーで陽気なナンバーに隠された、シャイなバンドマンたちのアツい思いが伝わり、胸が熱くなった。



この野外ライブに向け、配信リリースされたファンキーな「NOT FLUNKY」からは怒涛の終盤戦へ。事前に公開された振り付け動画でばっちり予習したスラッシャーたちは、雨を吹き飛ばすように4人と一緒に乱舞した。

連帯感をさらに感じさせる「SING-A-LONG」をともに歌い、匠海はその場の全員を鼓舞するように「コニファー、雨なんかに負けんな! かかってこい」とシャウト。UNISON SQUARE GARDENの田淵智也が手掛けたロックチューン「ビリビリ☆ルールブック」でさらにヒートアップしていった。

「ここからはみんなの声を聴かせてください」と呼びかけ、「愛の導火線」へ突入。ギターを抱えながら匠海と昌暉は花道へと駆け出した。心弾む「JUMPer」など、ライブ人気の高いキラーチューンが続き、4人のテンションもマックスに。ファイヤーボールや火柱が交錯するど派手な特攻の中、寝そべりながらギターをかき鳴らし絶唱する匠海は、まるで往年のギターヒーローのようだった。シャイな大智は、最後まで言葉少なだったが、彼の躍動するビートがあるからこそ、ギターもキーボードも伸びやかに響きあえる。3人の絶大なる信頼は、大智にまっすぐに伝わっていたに違いない。

本編ラストは、最新アルバムのライブ重要曲と彼らが予言していた「DAWN」。降りしきる雨に打たれながら、アンセミックなナンバーを8,000人が歌う光景は、どこか神々しくすらあった。




アンコールの熱望に応えて、すぐさまステージ戻ってきた4人。匠海は「今日、また伝説のライブっぽいです」と、半分冗談半分本気で宣言。柊生は「雨でめちゃくちゃ」と苦笑いしながらも、その表情は不思議と清々しかった。

「みんなにとってもきっと大切な歌だと思います」と紹介した「Starting Over」。以前、匠海はこの曲のレコーディングで号泣したと明かした。新しい旅立ちを謳う前向きなナンバーだが、バンドが岐路に立たされた時期の楽曲で、自らと重なる部分も大きかったのだろう。思い返せば、いつも彼らの傍らには涙の影があった。それでも前を向き絆を深めてきたからこそ、雨に濡れながら「東京VIBRATION」で、タオルを全力で振り回す喜びを噛み締められるのだろう。



「雨降ったけど、めっちゃ楽しかった。花道の記憶がないくらいテンション、上がった」と匠海が振り返れば、柊生は「こんな雨の中、20分もスパイスカレーの話に付き合ってくれて、盛り上がってくれるスラッシャーというファンは最高です」と、ファンへの感謝を口にした。雨がすべてを洗い流し、リミッターもとっぱらってくれた『Junkfood Attraction』は、深く記憶に刻まれるライブになった。

「最後にもう一度この曲を贈ります」と告げ、「This Wonderful World」が再び鳴り始めたとき、ここからDISH//の新しい旅がはじまったのだとふいに確信した。彼らの前途を彩るように花火が打ちあがり、ライブは大団円を迎えた。……と思いきや、大智が「(ドラムで)花火の合図をするはずだったんだけど、テンションが上がって合図を間違えた」と告白。カッコいいのにカッコつけきれないところもまた、DISH//らしさ。彼らにしかできない経験と魅力を増やし続ける4人は、11月9日の広島を皮切りに全国ライブハウスツアーを行なう。晩秋から冬にかけて全国を巡る旅で、どんな新たな伝説を刻むのか、今から楽しみでならない。
(取材・文/橘川有子)

最終更新:8/24(土) 21:30
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