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吉田義人さん「W杯ベスト4や優勝目指すならプロ化は避けて通れない」

8/24(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【日本ラグビーのレジェンドが語る】

 吉田義人(元日本代表・50歳)さん

 日本開催のラグビーW杯開幕まで1カ月を切った。日本初のプロ選手である吉田氏にとって、将来の日本ラグビーのあるべき姿は何か? その思いを聞いた。

  ◇  ◇  ◇

 前回2015年W杯で日本が強豪の南アフリカ(当時世界ランキング3位)に勝利した時、メディアが一斉に報道してくれたこともあり、再びラグビーが大きな注目を集めるようになりました。ラグビー一筋に人生を歩んできた僕も本当に感動、感激しました。ラグビーが脚光を浴びている間、日本国民にとってラグビーがいかに重要なスポーツのひとつであることか、それを示し、伝えていく必要があると思っています。

 ラグビーが子供たちの成長に、情操教育にどれだけ有益なのか、将来社会に出て行く上でどれだけの意義があるのか、そういったラグビー自体の持っている〈価値〉をもっと世の中に伝播させるべきだと思います。

■千載一遇のチャンス

 だからこそ自国開催のW杯の開幕を9月20日に控えている日本ラグビー界は、千載一遇のチャンスと言えるでしょう。この機会を逃したら二度とメジャースポーツに復活できないかも知れない――という危機感を持って臨みたいものです。

 清宮克幸・日本ラグビー協会副会長が先日打ち上げたトップリーグのプロ化構想は、そういう点で大きなカギを握っていると思います。

 僕は現役時代にプロになった男です。もちろんプロ化の考えには賛成です。以前から話してきたことですが、身近に1993年にプロ化したサッカーのJリーグという成功例がありました。バスケットボール界でも紆余曲折を経て、プロリーグのBリーグが15年にスタートしましたが、ラグビー界は動きが鈍いような気がしていました。

■ラグビーの普遍的価値

 フランスに渡った理由は、日本スポーツ界のためでもありました。プロスポーツの在り方を学びたかったのです。そして、帰国後は、プロ契約が容認された日本でプロ契約選手としてトップリーグでプレーしました。

 あくまでプロとして練習を積み、試合で良いプレーをすることに集中しましたが、チームには社員選手も少なくなく、プロとアマが混在していました。当時から日本ラグビーは「どこに向かっているのだろうか?」と疑問を感じていました。 

 たとえばアメリカではセブンズが五輪の正式競技になったことをきっかけに昨年からプロリーグがスタートし、人気スポーツに急成長しています。日本がW杯に出場し続け、ベスト4入りや優勝を目指すのならば、やはりプロ化は避けては通れない道です。強豪国と同じ環境を整備しない限り、同じ土俵に上がれないと考えるからです。

 プロ化するに当たって思うことがあります。

 アマチュア精神をベースにした〈チームのために最善を尽くす〉〈集団の中でリーダーシップをどう発揮するか〉といったラグビーの普遍的な価値は、プロ化しても残すべきだと思います。

 たとえば学生スポーツの場合、ラグビーの中に息づいている教育的な価値観は、プロとは違った意味での存在意義があると思います。これは今後も大事にしていくべきではないでしょうか。私に何か協力できることがあれば、できる限りのことをやらせていただき、日本のラグビー界に貢献したいと思っています。

(取材・文=フリーランスライター・中山淳)

∇吉田義人(よしだ・よしひと) 1969年2月16日生まれ。秋田・男鹿市出身。秋田工から明治大。19歳で日本代表入り。代表キャップ30。伊勢丹ラグビー部主将。31歳でフランスに渡って日本人初のプロラグビー選手に。筑波大・大学院で修士号取得。横河電機ヘッドコーチ、明大ラグビー部監督を歴任。現在は日本スポーツ教育アカデミー理事長、7人制「サムライセブン」監督。

最終更新:8/24(土) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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